北中米W杯で、ピッチを彩るのが公式試合球「トリオンダ」だ。1970年メキシコ大会からW杯公式球を手がけるアディダス社が開発し、史上初の3か国(米国、カナダ、メキシコ)共催を象徴したデザインに加え、最新技術がつまっている。
「トリオンダ」は史上初の3か国共催を象徴する公式球となった。「トリ(数字の3)」と、スペイン語で波を意味する「オンダ」を組み合わせて命名された。アディダス社の本社があるドイツで開発されたボール。「色彩」「パネル構造」「テクノロジーの進化」が特徴的だ。
〈1〉デザイン カナダ、メキシコ、米国の国旗から着想を得た赤いカエデの葉、緑のワシ、青い星があしらわれた。素材の表面には立体的に模様をつけるエンボス加工が施された。凹凸を設けたことで、スパイクとの接触やGKのキャッチ性向上にもつながるという。
〈2〉パネル構造 ボールの核といえる部分で、開発では飛行安定性が最も重要視された。前回大会では20枚のパネルを使ったボールが採用されたが、今回は過去最少の4枚。高橋さんは「大会ごとに今の技術で最も選手が狙った場所へ正確に蹴れるような安定性を出せる、最適なパネル枚数と形状を追求している」と説明する。06年ドイツ大会からは、熱と圧力によって材料同士を接合する熱圧着方式を採用し、縫い目を廃止。
〈3〉テクノロジー 前回大会からは判定支援用のチップを内蔵し、今回は4枚の内1枚のパネルに貼り付けられている。ボールがラインを割ったか否かや、ハンド判定に生かされる。「1試合をコントロールするという意味では、ボールが手助けする時代。飛行安定性を追求するのはもちろん、よりボールがサッカーをいろんな側面で支える」。ボールは単なる競技の用具から、試合運営を支える存在へと役割を広げている。4年ごとに積み重ねられる成長は、世界最高峰の舞台を支える一球にも凝縮されている。
◇1970年大会以降のW杯公式球
▽アル・リフラ(22年カタール大会) 「アル・リフラ」はアラビア語で「旅」。開催地カタールへの旅、同大会の決勝戦までの旅を意味。
▽テルスター18(18年ロシア大会) メタリックプリント技術を活用した正方形柄(ピクセル)が組み合わされたデザインはデジタル時代を象徴。
▽ブラズーカ(14年ブラジル大会) これまでの公式球で最少枚数6枚のポリウレタン製パネル。ブラジル伝統のブレスレットをモチーフにしたリボンデザインが特徴。
▽ジャブラニ(10年南アフリカ大会) アフリカ大陸初開催を祝福し、南アフリカ共和国の公用語で「祝杯」を名称に。同国の伝統的なパターン模様をモチーフに。
▽チームガイスト(06年ドイツ大会) 革放射状ラインは躍動とエネルギーを象徴。白と黒はドイツ代表の伝統色、ファインゴールドは大会トロフィーから。
▽フィーバーノーヴァ(02年日韓大会) 名称の「フィーバー」はW杯に注がれる世界中の人々の熱気を、「ノーヴァ」は「新星」を意味。日韓両国にインスピレーションを得た。
▽トリコロール(98年フランス大会) 赤、青、白のフランス国旗に由来。同国の伝統的なシンボル・雄鶏と近代シンボルである高速列車とタービンを融合。
▽クエストラ(94年米国大会) 宇宙を駆け巡る星をイメージさせる斬新なデザインは、蹴り出される瞬間のスピードを表現した。
▽エトルスコ・ユニコ(90年イタリア大会) デザインは紀元前8世紀から前1世紀頃に栄えた古代文明エトルリアの歴史を表現。
▽アステカ(86年メキシコ大会) W杯で最初の人工皮革製試合球。デザインは古代アステカ文明の歴史を表現。
▽タンゴ・エスパーニャ(82年スペイン大会) 天然皮革を素材としながらも、防水性を備えた革新的な密閉式縫い目を特長としている。
▽タンゴ(78年アルゼンチン大会) 開催地・アルゼンチンの音楽(舞踊)のタンゴをイメージ
▽テルスター(74年西ドイツ大会) 70年モデルのゴールドのブランドロゴを、新たに黒のブランドロゴにチェンジ
▽テルスター(1970年メキシコ大会) 人々がテレビで観戦出来るようになった時代のスター(星)という意味。

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