コミッショナー選出によるア・リーグの「レジェンド枠」で、球宴に参加するタイガースのジャスティン・バーランダー投手(43)が13日(日本時間14日)、当地でメディア対応。今季限りでの現役引退を発表した266勝右腕は、現在負傷中で登板はないが、初選出の07年球宴で目にしたイチローとオルティスの衝撃の”かけ合い”を回顧しつつ、最後の球宴に思いを語った。

 2007年の初選出を皮切りにタイガース時代に6度、アストロズ時代に3度、今回で計10度目の球宴出場を果たしたベテランは19年前のア・リーグ代表ロッカールームを回想。子どもの頃からの憧れだったD・ジーター、A・ロドリゲスらきらめくスターたちを前に萎縮していた若き日の自分を振り返った。

 「今とは違い、僕は誰にも話しかけられず、隅っこでじっとしていた。ある瞬間、オルティスが立ち上がり、皆の注意を引いて、イチローにメッセージを送ったんだ。その瞬間、その場にいた皆が、何が起きるか察知した。あの2人は何年も球宴で共演し、普段から一緒にいるみたいで、内輪のジョークがあった。それに気がついた時、自分はその輪に入っていない、と思い知った。他のみんなは、イチローが何を言うか分かって、もう笑っていたから」。イチローが1年に一度だけ羽目を外し、放送禁止用語を連発してゲキを飛ばすのは、ア・リーグ代表の”お約束”だった。若きバーランダーは衝撃を受けたという。

 新人王、サイ・ヤング賞3度、ワールドシリーズ優勝2度、ア・リーグMVPを獲得し、今季は古巣タイガースと契約したがシーズン序盤に左股関節の炎症を発症し負傷者リスト(IL)入り。復帰に向けて調整していた6月には、投球練習中に左太もも裏を肉離れし、1試合しか登板できす、ユニホームを脱ぐ覚悟を決めた。

「(引退の)ひらめきはなく、ゆっくりと進んだ過程だった。開幕直後から故障が重なり、短期だと思っていた離脱が長引いてフィールドに立てなくなった中、熟考する必要があった。300勝と4000奪三振は、どうしても達成したかった目標のひとつだったから。今もシーズン中に戻って投げられると信じている」と、シーズン中の復帰を目指して、コルチゾン注射を打ってリハビリに励んでいる。

 今球宴は両軍合わせて36人が、初参加。この2日間は、次世代のスターへ架け橋をつなぐ時間でもある。

 「素晴らしいイベントも突然やってきて、あっという間に過ぎ去って、日常の忙しさに紛れてしまう。多くのベテランは引退の時、もっと現役時代に色々味わっておけば良かったと後悔する。感謝すべきだった、と。私はキャリアの後半から(若い選手に)そう言い続けてきた。この舞台に集まる選手は皆、心の奥で、自分はここに来れる選手だと思い、それをモチベーションにしていると思う。でも同時に、当然のことと思わないで欲しい。

いつ奪われるか分からないからだ。自分をここまで導いてくれた情熱を常に覚えていて欲しい。10回出れるかもしれないし、そうでないかもしれない。だからこそ、この時間をしっかり受け止め、全てを味わい感謝して欲しい」と将来の殿堂入りが確実視される右腕は、しみじみと語った。

 「自分の運命を自分でコントロールしたい。強制的に追い出さえるのではなく、自分の意思で辞めたいと思っていました」。メジャー556試合に登板し、計3571回1/3イニングに渡ってマウンドを支配した右腕が、最後にコントロールしたかったのは、自らの引き際だった。

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