◆第108回全国高校野球選手権大会第13日 ▽準々決勝 健大高崎1x―0有明=延長10回タイブレーク=(18日・甲子園

 準々決勝4試合が行われ、春夏通じて初出場の有明(熊本)は、健大高崎(群馬)にサヨナラ負け。初の4強入りを逃したが、7月28日に発生した「令和8年熊本地震」で大きな被害に見舞われた地元に勇気を届けた戦いに大歓声が送られた。

健大高崎は夏の甲子園で初めて、天理は9年ぶりの4強入り。

 有明の斉藤遼汰郎はマウンドで祈るような思いで待った。「アウトになって」。延長10回1死二、三塁。二ゴロの間に健大高崎の三塁走者が本塁へ突入し、セーフの判定となった。サヨナラ負けかと思われたが、ベンチが今大会から導入されたビデオ検証を要求。球場中が固唾(かたず)をのんで見守る中、「ビデオ検証の結果、判定通りセーフ」というアナウンスが響いた。敗戦となったが、好投を続けてきた斉藤は「悔しいけど、勇気を与えるプレーはできた」とすがすがしい表情。快進撃が終わりを迎えた。

 仲間の無念を背負い腕を振った。工修哉投手(3年)と斉藤のダブルエースが軸だが、工が16日に左手甲を骨折。登板が厳しい状況になった。

緊急事態で斉藤が奮起。この日は8回まで無失点に抑えると、同点の9回2死満塁では工が伝令役としてマウンドへ。高め合ってきた存在から「落ち着いて笑顔でプレーしよう」と伝えられた。心に再び火をつけた左腕は見逃し三振を奪い無失点。仲間の激励を力に投げ切った。

 聖地への初切符を獲得してから4日後に熊本で地震が発生。ナインは地元への思いを胸に白球を追った。勝ち上がるごとに全国から差し入れが絶え間なく宿舎には届いた。高見一茂監督(46)は「本当にありがたい」と感謝する。受け取った水やお茶などの差し入れを自分たちだけで使うのではなく、今なお苦しむ被災地へと寄付した。中野賢哉部長(42)は「頂いたものを被災地の方に届けるようにお願いもしました」と説明。勝ち進み、多くの人々の胸を打ったからこそできる“還元”。

プレーだけではない。グラウンド外でも温かい光を放っていた。

 春夏通じて初出場ながら今大会は3戦連続逆転勝ちで3勝。奮闘は色あせない。試合終了後には三塁側アルプス席の前で整列してあいさつ。惜しみない拍手が注がれ、「ありがとう」の声も飛んだ。斉藤は「楽しく、笑顔でプレーできた」と胸を張った。泥臭く勝利を求める姿勢から「ムツゴロウ打線」の愛称がついた有明。“熊本魂”を込めて戦い抜いた泥だらけのユニホームが聖地で映えた。(宮内 孝太)

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