先週の日経平均は、一時史上初の6万円台に到達しました。ただ、実態は一部のAI・半導体関連銘柄に依存しており、市場の盛り上がりはイマイチです。

今週は国内決算の本格化に加え、日米中央銀行会合が重なる「中銀ウィーク」です。今週は、主力株の過熱感、連休前の利益確定売りなどをこなし、6万円台を固められるかが焦点になりそうです。


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日経平均は初の「6万円台」も、盛り上がりに欠ける印象

 先週末4月24日(金)の日経平均株価終値は5万9,716円となりました。前週末終値(5万8,475円)からは1,241円の上昇です。


 終値ベースでの最高値を更新して1週間の取引を終えたほか、23日(木)の取引時間中には、初の6万円台に乗せる場面もありました。


<図1>日経平均の5分足チャート(2026年4月20日~4月24日)
日経平均6万円台を固められるか。アドバンテストなど決算本格化、連休前で相場はどう動く
出所:MARKETSPEEDII

 あらためて、先週の日経平均の動きを5分足チャートで辿ってみると、やはり、23日(木)の値動きが特徴的となっています。


 この日は、先ほども述べた通り、6万円台に乗せる場面があったことはもちろん、その前後の値動きがかなり荒くなっていて、先週の高値と安値がこの日に集中していること、そして、先週1週間のうち、前日比で下落したのはこの日だけでした。


「はじめて6万円台にタッチした日」だった割には、相場ムードの盛り上がりはイマイチだった印象は否めず、こうした流れを受けて迎える今週は、「名実ともに6万円台乗せを実感できるか?」が焦点になりそうです。


 ちなみに、25日(土)朝に取引を終えた、日経225先物の夜間取引(ナイト・セッション)の終値が6万台に乗せており、イラン情勢などが悪化せず、この流れが続くのであれば、6万円台の攻防が意識されやすくなると思われます。


一部の銘柄に依存する株価上昇

 また、先週の日経平均上昇の中身について探っていくと、前回のレポートでも指摘した通り、旺盛なAI需要を背景とした一部の銘柄(半導体やメモリ、ストレージ関連、データセンター関連など)が牽引する構図が先週も続いた格好です。


▼前回のレポート

2026年4月20日: 日経平均6万円台の可能性は?上昇継続のカギを握る銘柄と注意点


<図2>日経平均寄与度(週間)ランキングの状況(2026年4月17日と4月24日終値を比較)

■日経平均の週間上昇幅(4月17日と4月24日の終値比較)…1,241円


日経平均6万円台を固められるか。アドバンテストなど決算本格化、連休前で相場はどう動く
出所:MARKETSPEEDIIデータおよび日経平均プロフィル公表の係数・除数を基に作成

・上昇した銘柄は54銘柄、上昇寄与度の合計:2,484円
・下落した銘柄は170銘柄、下落寄与度の合計:-1,243円
※1銘柄の株価は変わらず


 図2は、日経平均を構成する225銘柄の週間騰落状況から、日経平均への上昇寄与度と下落寄与度のランキングを計算したものになりますが、首位 ソフトバンクグループ(9984) の上昇寄与度が1,155円と圧倒的であることが分かります。


 2位以降については、 アドバンテスト(6857) (上昇寄与度378円)や、 イビデン(4062) (同221円)、 東京エレクトロン(8035) (同185円)、 キオクシアホールディングス(285A) (同95円)などが続いています。


 先週に上昇したのは54銘柄でしたが、仮に、ソフトバンクグループを除いた残りの上昇53銘柄の指数寄与度を合計すると、1,328円となり、下落寄与度の合計-1,243円を差し引くと、先週の日経平均は85円しか上昇しなかったことになり、全体としてはあまり強くなかったと思われます。


 また、下落した銘柄数の方が上昇した銘柄数よりも多いことを踏まえると、日経平均が今後も上昇を継続していくには、現在の相場を牽引している銘柄が引き続き上昇を続けるか、新たな牽引役が登場するか、幅広い銘柄が買われて全体的に底上げしいくかが求められることになります。


ソフトバンクグループとアドバンテストの上値余地について

 そこで、先週の日経平均を押し上げた、ソフトバンクグループとアドバンテストが引き続き牽引役になれるかについて見ていきます。


<図3>ソフトバンクグループ(日足)と25日移動平均線乖離率の動き(2026年4月24日時点)
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出所:MARKETSPEEDII

 まずはソフトバンクグループです。図3は前回のレポートでも紹介した、日足チャートと25日移動平均線乖離率の推移です。また、価格のところには、株価収益率(PER)を利益成長率で割った「PEGレシオ」の値を記載しています。


 前回のレポート(4月17日)時点では、移動平均線乖離率はプラス23.81%、PEGレシオは1.61倍だったのですが、過去に乖離率がプラス35%台まで上昇した経緯があること、そしてPEGレシオも割高の目安とされる2倍を下回っているため、「まだ上値を伸ばす余地がある」と指摘していました。


 結果的に、想定していた通り、ソフトバンクグループの株価は上昇していきましたが、週末24日(金)時点の乖離率がプラス42.72%、PEGレシオも2.12倍まで拡大しており、さすがに過熱感や割高感が出てきている印象です。


 また、先週のソフトバンクグループの株価を押し上げたのは、株式の約9割を保有している英 アーム・ホールディングス(ARM) の株価が急騰したことでした。


<図4>英アーム・ホールディングス(日足)の動き(2026年4月24日時点)
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出所:MARKETSPEEDII

 アーム・ホールディングスが発表した新型AIチップの売上見通しが、想定以上の見込みとなったことが起爆剤となり、2023年9月の上場以来、180ドル水準が抵抗となっていた同社の株価が230ドル台まで一気に上昇し、最高値を更新する動きとなりました。


 ただ、株価の急騰に伴って、PEGレシオが7.24倍まで拡大しており、かなりの割高感が出てきています。


 アーム・ホールディングスの決算発表は来週の5月6日(水)に予定されていますが、目先はアーム・ホールディングス、およびソフトバンクグループの株価の上値が重たくなる可能性は高そうです。


 同様に、アドバンテストの状況についても見ていきます。


<図5>アドバンテスト(日足)
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出所:MARKETSPEEDII

 アドバンテストも先週の株価上昇によって、2月の高値を上回ってきたほか、PEGレシオも2倍を超えており、割高感が意識されるところに来ています。


 アドバンテストの決算は今週27日(月)の15時半に予定されていますが、仮に業績や見通しが良かったとしても、すでに好業績は織り込まれていると思われ、市場の想定以上の業績上振れがないと、利益確定売りに押される可能性もあり、翌28日(火)の株価の反応がカギを握ることになりそうです。


企業決算と物色の広がり

 続いて、新たな牽引役が登場するか、そして、幅広い銘柄が買われて全体的に底上げしていくのかについても考えていきます。


 そこで、今週の日経平均構成銘柄の決算発表予定について見ていきます。


「仮に1%株価が上昇した際の日経平均への上昇寄与度」を先週末24日(金)時点で計算したものも併記していますが、先ほどのアドバンテスト(71.06円)のほか、東京エレクトロン(46.11円)、 TDK(6762) (13.52円)、 信越化学工業(4063) (11.34円)あたりの寄与度が比較的大きい銘柄になります。


27日(月)
日立製作所(6501) (1.75円)、アドバンテスト(71.06円)、 アステラス製薬(4503) (4.14円)、 大和証券グループ本社(8601) (0.5円)、 日東電工(6988) (5.40円)


28日(火)
信越化学工業(11.34円)、 三菱電機(6503) (2.01円)、 コマツ(小松製作所:6301) (2.32円)、 NECキャピタルソリューション(8793) (2.76円)、 大塚ホールディングス(4578) (3.62円)、 デンソー(6902) (2.50)、TDK(13.52円)、 オリエンタルランド(4661) (0.8円)、 JR東海(東海旅客鉄道:9022) (0.69円)、 東京ガス(東京瓦斯:9531) (0.43円)、 中部電力(9502) (0.09円)、 日本取引所グループ(JPX:8697) (1.23円)、 富士電機(6504) (0.82円)


30日(木)
東京エレクトロン(46.11円)、 村田製作所(6981) (3.97円)、 HOYA(7741) (4.79円)、 豊田通商(8015) (6.16円)、 レーザーテック(6920) (6.04円)、 京セラ(6971) (7.27円)、 JR東日本(東日本旅客鉄道:9020) (0.35円)、 関西電力(9503) (0.08円)、 商船三井(9104) (0.62円)、 JR西日本(西日本旅客鉄道:9021) (0.2円)、 ANAホールディングス(9202) (0.09円)、 NGK(5333) (1.48円)、 日本航空(9201) (0.83円)、 ZOZO(3092) (1.06円)、 TOTO(5332) (0.9円)、 ヤマトホールディングス(9064) (0.59円)、 東武鉄道(9001) (0.19円)


1日(金)
三菱商事(8058) (4.98円)、 三井物産(8031) (3.88円)、 伊藤忠商事(8001) (3.25円)、 丸紅(8002) (1.99円)、 住友商事(8053) (1.94円)、 双日(2768) (0.2円)、 エムスリー(2413) (1.21円)、 セイコーエプソン(6724) (1.36円)


 もっとも、寄与度が大きくない銘柄でも、決算がポジティブサプライズとなれば、日経平均の上昇に貢献することも考えられますが、中東情勢のネガティブな影響を業績見通し(ガイダンス)などに反映させる企業が増えてくると、市場全体として上昇しにくくなることが想定されます。


 そのため、「決算を機に物色される銘柄が増えるかどうか?」は重要なポイントであり、慎重に見極めて行くことになります。


イベントの多さと国内大型連休前の難しさ

 さらに今週は、日本銀行金融政策決定会合が27日(月)~28日(火)に、米 連邦公開市場委員会(FOMC)が28日(火)~29日(水)に開催される「中銀ウィーク」でもあるほか、米国でも日本と同様に注目企業の決算が相次ぎます。


 具体的には、 アップル(APPL) やアルファベット( GOOG 、 GOOGL )、 マイクロソフト(MSFT) 、 メタ・プラットフォームズ(META) 、 アマゾン・ドット・コム(AMZN) といった「マグニフィセントセブン(M7)」銘柄のほか、 サンディスク(SNDK) や ウエスタンデジタル(WDC) など、2026年相場の牽引役の一角を担っているメモリ・ストレージ関連企業、プライベートクレジット(PC)問題絡みの アレス・マネジメント(ARES) などの決算が予定されているなど、何かとイベントの多い週になります。


 その一方で、国内では今週の29日(水)の「昭和の日」をはじめ、来週半ばにかけて大型連休が控えており、いったんの利益確定売りや、手仕舞い売りが出てくる展開も想定しておく必要がありそうです。とりわけ、中東情勢の行方が不透明なだけに、ポジションを維持したままで連休を過ごすことのリスクは例年よりも高くなると思われます。


 もちろん、中東情勢が改善に向けて前進する可能性もありますが、株式市場では戦争終結を前倒しで織り込むような動きも見せているため、実際に、終結が現実的になってくると、これまで買われてきた銘柄が売られる一方で、売られてきた銘柄が買い戻されるという、直近とは異なる動きが出てくることも考えられます。


 反対に、中東情勢の悪化や長期化が濃厚になってくると、さすがにAI・半導体関連の一極集中の動きも鈍化すると思われるほか、例年のこの時期になると出てくる相場格言「セルインメイ(5月に売れ)」への意識が強まってくることも考えられます。


 そのため、今週はイベントの多さ(相場を動かす材料)と、国内大型連休前の難しさ(手仕舞いや利益確定などの売り要因)のあいだで揺れ動くことになりそうです。


(土信田 雅之)

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