唯一の自動改札“空白県”も解消

 JR四国は2026年5月13日、徳島駅に自動改札機を設置して6月13日から使用することを発表しました。県庁所在地の中心駅で自動改札機がないのは徳島駅だけで、設置後は47都道府県全てのJRおよび沖縄都市モノレール「ゆいレール」の中心駅に自動改札機がそろうと受け止められています。

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 徳島県は自動改札機を備えた駅がない唯一の“空白県”なのも設置後に解消され、全都道府県に自動改札機がある駅が存在することになります。

 ただし、「あの県庁所在地駅はまだ自動改札機がない」と物言いが付く駅も残ります。それはどの県庁所在地でしょうか。

 JR四国によると、徳島駅の2024年度の1日平均乗車人員は5510人で、同社の駅としては首位の高松(1万2789人)、2位の松山(5528人)に次ぐ3位。高徳線と牟岐線(愛称:阿波室戸シーサイドライン)のほか、高徳線で隣駅の佐古(徳島市)で分かれる徳島線(愛称:よしの川ブルーライン)と、4駅先の池谷(徳島県鳴門市)で分岐する鳴門線の列車も発着し、朝と夕方の通勤通学時間帯には混雑します。

 徳島は1面1線の切り欠きホームと、2面3線を組み合わせたユニークな構造の地上駅です。プラットホーム同士を結ぶ跨線橋は古レールを使っているなど昔の駅の雰囲気を漂わせています。

自動改札機が入っても、大都市圏で当たり前の「アレ」が使えない!

 筆者が徳島駅から列車に乗った際、有人改札にいた駅員に「お願いします」と言って切符を手渡しました。駅員は切符にスタンプを押すと、「ご乗車ありがとうございます」の言葉とともに返してくれました。

 円形のスタンプには徳島駅、日付、JR四国の文字が入っています。徳島県の表玄関でありながら、駅員との短い会話でぬくもりを感じ取ることができました。

 JR四国によると、徳島駅には自動改札機に沿って4つの通路を設け、うち入場専用が1通路、出場専用が2通路、入場と出場の共用が1通路。

自動改札機は、裏面が黒い磁気切符の投入口があるほか、同社のスマートフォン向けチケットアプリ「しこくスマートえきちゃん」のQRコードを読み取る機能も備えます。

 ただし、自動改札機が入っても、大都市圏では当たり前の「アレ」は使えないままです。それは「ICOCA(イコカ)」などのIC乗車券です。

 JR四国でIC乗車券を利用できるのは香川県内の一部の駅に限られており、徳島駅については「対象エリア外となるためご利用いただけません」と説明しています。

高架駅になっても50年近く「有人改札だけ」だった駅

 他の県庁所在地の中心駅で自動改札機が長らく入っていなかったのは、JR西日本の鳥取駅です。稼働開始は2025年3月15日でした。

 鳥取には山陰本線と因美線の列車に加え、因美線の3駅先にある郡家(こおげ、鳥取県八頭町)を起点とする第三セクター鉄道、若桜鉄道のディーゼル車両も乗り入れてきます。JR西日本の資料から算出すると、鳥取駅の2024年度の1日平均乗車人員は4603人でした。有人改札しかなかった頃は、通勤通学客で混雑する時間帯には行列ができることもありました。

 また、鳥取は1978年から高架駅になっているため、自動改札機が入る前には有人改札がまるで時代に取り残されたようでした。こちらは自動改札機の導入と同じタイミングで、ICOCAなどの交通系ICカードへの対応も開始しました。

県庁所在地の「中心駅」自体に異論が付く駅

 さて、「県庁所在地の中心駅」と定義した場合、一部で意見が分かれるのが山口県です。

県庁所在地の山口市によると、市内の駅で2023年度の1日当たりの平均乗車人員が最も多いのは新山口駅の7498人でした。

「自動改札機が無い」県庁所在地の中心駅がいよいよ消滅…なのか? 徳島駅もついに導入へ 見方が分かれる“最後の砦”とは
鳥取駅で並んだJR西日本キハ187系(大塚圭一郎撮影)

「のぞみ」の一部を含め山陽新幹線が停車し、JR西日本の山陽本線と山口線、宇部線も乗り入れる交通の要衝で、多くの列車が行き交います。それだけに、「県庁所在地の中心駅」と呼ぶのにふさわしい貫禄があります。もちろん、山陽新幹線と在来線の両方の改札口に自動改札機を備えています。

 もっとも、新山口は2003年10月に改名されるまでの駅名は「小郡」で、当時の所在地も旧山口県小郡町でした。2005年10月に山口市、秋穂町、阿知須町、徳地町との5市町で合併し、山口市の仲間入りを果たした経緯があります。

 新山口は、山口県庁や山口市役所がある行政の中心地からは離れています。これに対し、行政の中心地の最寄り駅は山口線の山口駅で、所在地も5市町の合併前から山口市でした。駅名も山口市の玄関口のような響きがあります。

 しかしながら、山口市によると山口駅の2023年度の1日当たりの平均乗車人員は1475人にとどまり、市内で2番目といっても新山口駅の5分の1弱にとどまります。山口線は単線で電化しておらず、1~3番線しかない山口駅の列車発着は1時間当たり1~3往復にとどまります。

 この山口駅にあるのは入場・出場時にIC乗車券をかざす簡易ICカード改札機だけで、自動改札機はないのです。

したがって、名称および位置で山口市の「中心駅」というとらえ方をした場合、該当する山口駅には自動改札機が導入されていないという受け止め方もできるのです。

 山口駅には、自動改札機が導入される計画がありません。よって徳島駅に自動改札機が導入された後も、「県庁所在地の中心駅」に自動改札機がそろったかどうかは議論の的であり続けることになりそうです。

【言われてみれば…!】自動改札機がない県庁所在地の中心駅「最後の砦」(写真)

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