次代を担う逸材たち~アマチュア野球最前線 第3回
宮崎学園・一木湊心&久保田瑛大

 宮崎学園高・濱田登監督とは、彼が宮崎商業で監督をされていた頃からの付き合いになる。 2008年、当時全国有数の左腕として注目されていた赤川克紀投手(元ヤクルト)の取材で、宮崎商に伺ったこともあった。

 ドラフト1位候補の全力投球をブルペンで受けて記事を書く、雑誌『野球小僧』の連載企画「流しのブルペンキャッチャー」の取材だ。当日は、あいにく本降りの雨。「ウチは室内練習場がないから......」と、濱田監督自ら運転してくれた野球部のバスで連れていかれたのが、宮崎学園高の屋根付きブルペンだった。なんの縁か、その宮崎学園の監督に昨年9月に就任し、指揮を執っている。

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【指揮官イチ押しのパワーとミート力】

 そんな濱田監督率いる宮崎学園に、1年からレギュラーで試合に出ている大型遊撃手がいることは知っていた。そのことを伝えると、濱田監督はこう返してきた。

「ああ、久保田のことですよね。久保田もいいですけど、一木も身体能力が高いですよ」

 もうひとりいるんだ......。濱田監督が推したのは、三塁手の一木湊心(いちき・そうしん/3年)だ。

 分厚い胸板、腰回りから大腿部への充実ぶり。180センチ85キロの高校生離れした体格から生み出される破壊的なスイングスピードだけで、相手バッテリーを圧倒できそうだ。その猛烈なエネルギーを、たくましいふくらはぎが支えている。

 右打席からしっかりとボールをミートできた時は、左中間方向へのライナーがフェンスめがけてグングン伸びていく。

膝元の難しいコースにもスイング軌道をうまく合わせ、レフトポールを巻くようにフェンスの向こう側へと消えていった。

「バッティングが粗っぽいように見られがちなんですけど、一番自信あるのはミート力なんです。自分、三振しない自信はあるんで」

 口調は重たいが、伝えたいことはしっかり伝えてくる。

 スクワットで200キロのバーベルを持ち上げる怪力の持ち主。バットの芯で捉えさえすれば、打球は果てしなく飛んでいく。

「投げるほうに気がいってしまって、捕球ミスが......」と、顔が曇りがちになる三塁守備は、打球がグラブに入るのを目で確かめるクセをつければ解消できるはずだ。あとは、「捕ればアウト」の強肩が大きな味方になってくれるはずだ。

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宮崎学園の大型遊撃手・久保田瑛大 写真は野球部提供

【お手本は源田壮亮のフットワーク】

 そしてあらかじめ聞き及んでいた"大型遊撃手"とは、久保田瑛大(えいた/3年)だ。下級生時からチームの主力を担っていただけに、「打てるショート」だと思っていたら、まず驚かされたのはフィールディングだった。

 打球をさばく動作に迷いがない。打球の性質によって、さばいていく"手段"を次々に繰り出しては、当たり前のように処理していく。バウンドを合わせるリズム、グラブを出すタイミングが早すぎないから、ボールがグラブにスッと吸い込まれていくようだ。

 ソフトタッチの捕球に余裕があるから、スローイングの精度も高い。

右耳の位置でサッとトップをつくると、しなやかなスナップスローがなんとも鮮やかだ。

 久保田は182センチ、81キロの大型遊撃手。このサイズで、これだけ自然な動きとノンパワーのグラブさばきで打球と仲良く付き合える高校生は、紅林弘太郎(駿河総合高→オリックス)以来かもしれない。

「テスト明けで、グラウンドで練習するのは1週間ぶりなんです」

 そんな濱田監督のひと言に、思わず「ええっ⁉︎」と驚いてしまった。

「打球を上から見ないで、右側から体を入れていき、体勢を低くして前を見ながら(打球に)入る。今は源田壮亮(西武)さんの捕球後のステップの映像を見ながら、お手本にしています」

 風のように打球をさばく......久保田の守備を見ていると、源田のメカニズムの雰囲気はある。生まれながらのショートストップなのだろう。

「いえ、ショートは高校に入ってからです。中学では、投手兼捕手兼外野手でしたから!」

 いったい今日は、何度びっくりすればいいのか。

【スイングスピード150キロが目標】

 その久保田にバッティングについて聞くと、こんな答えが返ってきた。

「去年の秋までバッティングがずっと不調で、コンタクト率を上げてアベレージ優先を目指していたんですけど、だんだんと当てるだけ、合わせるだけになっていました」

 ストレートに振り負け、変化球は追いかけてしまう......。そんな負のスパイラルが続いたという。

「なので、この冬は長距離打者を目指して、革命を起こしてみました」

 均整抜群の体躯。たしかに当てにいったんじゃ、このガタイがもったいなさ過ぎるだろう。

「ひと冬越えて、すごく振れるようになりました」

 取材当日はテスト明けの練習初日とあり、左打席からミート最優先のバッティング練習だったが、「もうちょっと振ってみてくれる?」のリクエストに、ひと振りで右中間フェンスに放物線でぶつけてみせた。

「振っていくんですから、三振はしょうがない。その代わり、タイミングが合った時はホームラン......みたいな長距離ヒッターになりたいですね。不調な時ほど呼び込んで逆方向。そこはブレない基本線にしていきたいです」

 今春からは、フィジカルの数値を「プロ注目のレベル」に上げたいという。

「岡村さんは、スイングスピードが150キロ超えていたらしいんです」

 久保田の言う「岡村さん」とは、昨秋ドラフト6位で富島高からロッテに進んだ強肩強打の捕手、岡村了樹だ。濱田監督が宮崎の山間の中学で発掘し、富島高校を退職する高校2年まで丹精込めて育てた選手だ。

「自分はまだ145、6キロなんで、まずそこを超えないと、その先がどうこうなんて、そんな話はできません」

 プレーは好対照でも、「肝の据わり方」という共通項を持った宮崎学園の三遊間コンビは、名将・濱田監督が舵取りを務めるチームの強力な推進力となるはずだ。

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