「地域リーグ」と名を変えたいわゆる独立リーグ。地域との連携を深め、多くの選手が地域と関わりながら競い合い、NPBを目指している。
昨年は育成指名2名に終わり、悔しい秋だったルートインBCリーグだが、今年は若い投手に逸材が豊富だ。なかでも、茨城アストロプラネッツからは複数の選手が指名される可能性が高い。
10月22日に行なわれるドラフト会議で何人が歓喜の瞬間を迎えるのか。注目選手のなかから、特に有力な5人をピックアップした(年齢は今年度の満年齢。成績は今季のもの)。
【ドラフト候補筆頭の成長著しいクローザー】
三浦遼大(みうらりょうだい・投手/青森県/21歳)
青森山田高→BC茨城 175cm・80kg 右投左打
29試合 32回3分の1 防御率 0.84 3勝0敗・3HP5S 奪三振47 奪三振率13.08
今季に圧倒的なパフォーマンスを見せたのが、BC茨城の高卒3年目、三浦遼大だ。昨年も150キロを超える球速で注目されていたものの、制球面やここぞの場面で能力を発揮できなかった。
しかし今季は、満を持してBCリーグのドラフト候補筆頭に挙げられている。自慢のストレートに磨きがかかり、8月20日までは防御率0.00と各チームの打者を圧倒。昨年はアベレージ140キロ台だったストレートは、ほとんど150キロ台を計測する。
「自信を持ってストライクゾーンに投げ込めているので、四球が減って成績もよくなったと思います」
今季は特に、変化球を課題として取り組んだ。球団との縁もあった「DIMENSIONING」(野球のトレーニング施設)の北川雄介氏のもとに通い続けてピッチング指導を受け、決め球のフォークやカーブ、スライダーにも磨きをかけた。
かつてソフトバンクでプレーした巽真悟監督からも、カーブの使い方や間合いの取り方など多くを教わった。
「理想は三者連続三振。全員から三振を取る気持ちで投げています」
フィジカル面を重視するBC茨城では、シーズン中もウエイトトレーニングで身体を追い込む。三浦も「前日にもトレーニングをして、筋肉痛のなかで投げているぐらい」だったという。
自分を「負けず嫌い」と評する三浦は、150キロ台を投げるチームメイトの投手たちにも負けずに上を行く。
今季は早い段階から複数のNPB球団のスカウトがマークしており、「支配下でないと獲得できない」という評価になっている。各球団の駆け引きによっては、ドラフトの早い段階で指名される可能性もあるだろう。
【一躍注目を浴びたパワーピッチャー】
川平真也(かわひらしんや・投手/沖縄県/23歳)
日本ウェルネススポーツ大中退→BC茨城 187cm・95kg 右投右打
24試合 87回3分の1 防御率 4.23 4勝8敗 奪三振68 奪三振率7.01
三浦と同じくBC茨城で3年目を迎える川平真也は、最速154キロを誇る速球が持ち味の投手だ。
187cmの長身と長い手足から繰り出すストレートの質がよく、威力もある。打者にとってはシュートも嫌な球だろう。当初は先発ローテーションで投げていたが、中継ぎ登板も増え、終盤は中継ぎで1イニングずつの登板に固定された。
NPB球団が独自で行なった入団テストや練習会では、抜群のパフォーマンスを見せてスカウトを驚かせ、一番の注目を浴びたという。先発も中継ぎもこなせるうえに、伸びしろも十分だ。
BC茨城では他に、2年目の金韓根(キム・ハングン・投手/22歳)、草場悠(くさばゆう・捕手/23歳)、車谷仁(くるまたにじん・内野手/24歳)にも調査書が届いており、吉報を待つ。
【高卒2年目の大物左腕】
福井聖理(ふくいきよまさ・投手/千葉県/20歳)
千葉経済大学附属高→BC神奈川 180cm・86kg 左投右打
37試合 34回3分の2 防御率 3.63 3勝2敗・8H11HP3S 奪三振31 奪三振率8.05
高卒1年目の昨季はいきなり開幕カードで先発し、球団の期待の大きさを感じさせた福井聖理。先発も中継ぎも経験し、とにかく場数を踏んで投げ続けた昨季から、今季はひと回りたくましく感じられるようになった。
「昨年は全体的にフィジカルが足りなかったので、オフにはウエイトや体幹トレーニングをしっかりやりました」
今季は当初クローザーを務めたが、平井克典(元西武)が入団すると、セットアッパーを務めた。ストレートの最速は148キロまで上昇。チェンジアップやカットボールも武器だ。
「平井さんはNPBの一軍で投げていた中継ぎのスペシャリストですので、どうやったらそれをこなせるのかを常に聞いています。自分はランナーがいるほうがアドレナリンが出る。クイックも得意で球に力が伝わりやすいです」
順調な成長曲線を描いた左腕に、NPBからの吉報は届くか。
【154キロを計測した恐るべき高卒ルーキー】
松本悠河(まつもとゆうが・投手/埼玉県/19歳)
鶴ヶ島清風高→BC信濃 172cm・72kg 右投両打
8試合 9回3分の2 防御率 11.17 0勝1敗 奪三振10 奪三振率9.31
今季の試合出場はわずか8試合ながら、注目を浴びる高卒ルーキーがいる。フェニックスリーグでMAX154キロを記録した松本悠河だ。上背はないが、もともと柔軟性があり、バネが強かったという。全身を使って投げ込むストレートが魅力だ。
入学した高校を退学し、通信制を経て鶴ヶ島清風に入ったのが2年時の7月。
BC信濃から声がかかり入団。シーズン開幕当初にはもう最速が147キロまで上がっていた。入団前に取り組んでいたトレーニングは独学で、ウエイトトレーニングはまったくせず、ジャンプ系を主にしていたという。それが球団でのトレーニングで、春のうちには150キロを計測した。
「球速は5月くらいまで測っていなくて、150キロ出ると思ってなかったんです」
球速の上がり方は本人も周囲も予想外だった。球団としては今年1年でドラフト指名を目指すというよりは、体づくりと育成の期間との思惑だったようだが、試合数も投げていない1年目からドラフト候補として名前が上がるようになった。
球種はストレートとチェンジアップだが、決め球はやはりストレート。課題の制球も、後半はコースに投げて三振や空振りが取れるようになってきた。
ピンチであっても「ワクワクする」という強心臓も魅力。目標は「クローザーになりたい。まっすぐの質を磨いて、まっすぐで抑える絶対的な投手になりたい」と上を見据える。
「以前は『NPBやMLBへ』という言葉は夢でしたが、NPBの選手とも対戦して『通用する』というところまできた。今は(その夢が)現実的になってきた感じです」
究極の"青田買い"はあるのか。将来性は十二分で故障歴もない。来年の成長次第では、BC茨城の三浦のように複数球団がマークして順位が上がることも予想されるだけに、今年の指名もあるかもしれない。
【セーブ王に輝いた熱投クローザー】
平澤燎(ひらさわりょう・投手/大阪府/24歳)
武蔵大→BC埼玉 174cm・78kg 右投右打
36試合 34 ⅓回 防御率3.67 2勝4敗2HP17S 奪三振44 奪三振率11.53
BC埼玉で2年目を迎える右腕の平澤燎。昨年は先発やロングリリーフを担っていた。昨季の最後の5試合すべてで複数イニングを投げ、打たれはしたもののタフネスぶりを印象づけた。武蔵大ではクローザーを務めた経験もあり、今季は最初からクローザーとして登板した。
オフシーズンのフィジカル強化が功を奏し、今季はストレートの最速を更新。フェニックスリーグでは153キロまで球速を上げた。
「昨年に落ちる球を覚えたので、横に大きく曲がる球が欲しくて。長坂拓夢(投手兼任コーチ)さんのスライダーを教わったらうまくハマったので使っています」
今季チームに加わった元メジャーリーガーの田澤純一とも積極的に会話し、技術やマインドを吸収。
「スプリットは昨年まで130キロ前半くらいだったんですが、今年は140くらいまで上がった。ストレートの球速が上がったら勝手によくなった感じです」
球速は上がったが、コントロールは崩していない。どんどんゾーンで勝負する強気のピッチングで17セーブを挙げ、BCリーグの最多セーブ投手賞を獲得した。
マウンドでの躍動感や熱投ぶり、がむしゃらさ、泥臭さを感じられる、独立リーグらしい投手がNPBへの扉を開くのか。
ここまで紹介した5人の選手のほかにも注目選手は多い。NPBでは、ヤクルトの二軍施設が茨城県の守谷市に移転し育成体制を強化するなど、今年のドラフトでは独立リーガーにとって追い風となる要素もある。NPBへ向けて、何人の選手が羽ばたいていけるか見守りたい。
(取材協力・写真提供/ルートインBCリーグ)
井上尚子●文・撮影 text & photo by Hisako Inoue










![Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023 “GIFT” at Tokyo Dome [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/41Bs8QS7x7L._SL500_.jpg)
![熱闘甲子園2024 ~第106回大会 48試合完全収録~ [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/31qkTQrSuML._SL500_.jpg)