ミセスがSMAP・嵐の後継に? 『スマスマ』を思わせる新番組が開始 “似たような番組”が支持される理由
ミセスがSMAP・嵐の後継に? 『スマスマ』を思わせる新番組が開始 “似たような番組”が支持される理由

テレビはまだまだトガっている。心に“刺さった”番組を語るリレー連載「今週のトガりテレビ」。

今回は、テレビウォッチャーの飲用てれびが、この春より始まった2番組に注目する。

この春から始まった注目の新番組

「また似たような番組か」と感じたとき、視聴者の直感はだいたい当たっている。日本のテレビは70年以上の歴史をもつ。その中でまったく新しい番組は、もうほとんど生まれない。そもそも、トガった番組ほど視聴率が伸びず短命だ。「また似たような~」と言いながら、多くの視聴者が求めているのは、新しさより「いつものやつ」なのかもしれない。

似ていることは欠点というより、もはやテレビにとって避けがたい宿命である。

それでも、その宿命を逆手に取っているように見える番組もある。似ていることを隠すのではなく、むしろ前面に押し出し、別の価値で上書きする。そうした可能性を感じる番組がときどきある。この春開始の新番組を2つ取り上げよう。

1つ目は、Mrs. GREEN APPLEの冠番組『テレビ×ミセス』(TBS系)。過去に特番が2回放送されており、このたびレギュラー化された。

ミセスといえば、令和を代表する人気バンドである。日本レコード大賞で3連覇を達成するなど、近年の国内音楽シーンを牽引している。

そんなミセスが、なぜ今バラエティ番組のMCを務めるのか。ボーカルの大森元貴は、4月6日の初回放送で次のように答えている。

「もうすごくシンプルで、テレビが好きだから、っていう」

その言葉どおり、番組はテレビバラエティの定番企画とミセスのコラボを軸に据える。たとえば、大型のセットを組んだゲーム企画。4月13日の放送では、ぐるぐるバットをした後に細い道を歩き、踏み外すと粉まみれになるゲームに挑戦していた。どこかで見たことのあるようなセットと出演者のリアクション。「いつものやつ」の連続だ。

また、ギターの若井滉斗とキーボードの藤澤涼架が学校を訪れるVTRも流されていた。人気者の学校訪問もバラエティの定番だ。2人の登場とともに、体育館に集まった生徒から悲鳴に近い歓声があがる様子がお約束通りに描かれる。

思い出すのは「SMAP×SMAP」

もちろん音楽企画もある。4月6日の初回放送では郷ひろみをゲストに迎え、トークや『GOLDFINGER'99』のセッションを披露。13日はミセスの『StaRt』を演奏した。番組の最後は楽曲で締める構成のようだ。

ゲームも、ロケも、音楽もやる。初回放送では研ナオコをゲストに迎えてコントとドッキリをあわせたような企画もやっていた。つまり、『テレビ×ミセス』は総合バラエティである。1990年代後半に『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)が担い、その後はなど旧ジャニーズ事務所系のアイドルが主としてMCを務めてきた系譜に連なる番組だ。

万人が知るスターだけが担えるこのポジションは、嵐の活動休止と旧ジャニーズ事務所の解体・再編以降、空白になっていたように見える。そこをミセスが担う流れに、時代の移り変わりが表れている。

同時に、時代のスターがテレビでエンタメを担う形を現代に更新しようとする、ミセスの覚悟も感じられる。現時点では「いつものやつ」をミセスが演じる点に新味がある段階だが、番組を通じて大森以外のメンバーの個性がファン以外に広く浸透すれば、徐々にオリジナリティが立ち上がってくる予感がある。

2つ目に紹介したい番組は、『超調査チューズデイ~気になる答え今夜出します~』(フジテレビ系)。

ニューヨーク(屋敷裕政、嶋佐和也)とカズレーザーメイプル超合金)がMCを務める。特筆すべきは、ゴールデンタイムの2時間生放送という編成だ。近年のレギュラー番組ではあまり見られない。

4月14日の放送では、「芸能人の初恋相手は今どうなっているのか?」を調査。新山千春、中川安奈、くわばたりえクワバタオハラ)、加藤綾菜らの初恋相手を探し出し、スタジオでの生対面に挑んだ。これも企画自体は典型的な「定番」だ。

おもしろかったのは、VTRに対するスタジオの反応である。違和感のある場面にMC陣が途切れなくツッコミを入れる。

「ホント昔のテレビみたいなことしてますやん」

おそらく、ツッコミの余地をあえて残したVTR構成なのだろう。嶋佐の大オチをはじめ、スタジオでの展開もおもしろかった。初恋相手との対面シーンで7人の男性を並べて「誰が初恋相手か」を当てるクイズも出題された。まるで人の初恋を弄ぶような展開に、屋敷がすかさずツッコむ。

「ホント昔のテレビみたいなことしてますやん」

外枠では定番企画を踏襲しつつ、出演者のコメントや演出でお笑い色を強める。定番をなぞりつつ、「定番であること」自体をネタ化している。『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)のカラオケ企画や、『千鳥かまいたちゴールデンアワー』(日本テレビ系)のクイズ企画と同系統の手法だろう。

近年、千鳥の周辺でこうした「定番企画をメタ視点を絡めて楽しむ番組」が増えてきた印象がある。情報番組として始まりながら実質は大喜利番組だった、初期の『ラヴィット!』(TBS系)も想起される。

まっさらな発明は難しい。そもそもあまり求められていない可能性もある。ただ、「いつものやつ」を更新する形で、気づかぬうちに新たな魅力やおもしろさが生まれるスペースが拓かれていることがある。王道を担い直すミセスと、王道を茶化すニューヨークら。「また似たような番組か」という感想は正しい。

ただ、その感想は、時にテレビで何か新しいことが始まろうとしているシグナルだったりすることも、あるのかもしれない。

文/飲用てれび

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