
くるりと巻いた個性的な毛を持つ猫の品種といえば、ジャーマンレックスもその一つです。しかし、ほかの巻き毛猫に比べて、あまり名が知られていませんよね。
三大レックス種の勢力に押されて希少なジャーマンレックス。一体どんな特徴や性格を持つ猫なのか、そして日本で飼うことはできるのか?
さまざまな項目からこの猫種にスポットを当ててみたいと思います!
目次
ジャーマンレックスってどんな猫?画像でチェック!
まず気になるのが、ジャーマンレックスがどんな猫なのかということですね。上の画像を見てもらうと、大体の特徴や雰囲気がつかめるでしょうか。
かわいらしくカールした短めの毛が体を覆っています。
レックス種では一番長い歴史を持つ
巻き毛タイプの猫の中ではマイナーなジャーマンレックスですが、実はその中では一番歴史の長い品種です。
巻き毛の特徴を持つ猫には、よく名前にレックスという語がつけられています。
中でも代表的なのが、三大とも言われているコーニッシュレックス、デボンレックス、セルカークレックスです。
ところが、どうやらジャーマンレックスは、その三種よりも先に存在していたようなんです。それぞれの品種の歴史が始まったとされているは、以下のとおり。
品種 | 年代 | 原産国 |
---|---|---|
ジャーマンレックス | 1951年 | ドイツ |
コーニッシュレックス | 1950年 | イギリス |
デボンレックス | 1960年 | イギリス |
セルカークレックス | 1987年 | アメリカ |
1950年からというコーニッシュレックスの歴史は、ある子猫の誕生から始まっています。
一方、ジャーマンレックスの歴史上1951年というのは、品種の元となった猫が成猫で発見された年なのです。
では、これから詳しく経緯を追ってみることにしましょう。
ジャーマンレックスという品種の始まり
第二次世界大戦後の1951年、1人の女性医師が東ベルリンの荒れ果てた病院の庭で黒猫を見つけました。
巻き毛を持つその猫に惹かれた医師は引き取って育てることにし、ラムキンと名付けます。
やがてメスのラムキンは子猫を産みましたが、その子は通常の毛を持つ猫でした。更に近親交配によって生まれた4匹のうち、2匹が巻き毛の子猫だったのです。
その子孫のうち1960年にアメリカへと渡ったものが、ジャーマンレックスの品種のベースとなっています。
品種の元となったラムキンは、病院スタッフによると1947年には既に病院でその姿を確認されていたということ。
つまり、レックス種の中では、ジャーマンレックスこそが世界で最も早く誕生していた猫と言えるでしょう。
ジャーマンレックスの子猫の値段や相場はいくら?
魅力的な巻き毛を持つジャーマンレックス。でも、メジャーな品種でないだけに子猫の購入を希望する場合、値段の点が気がかりです。
ここで、ズバリ!価格相場を提示したいところなのですが、残念ながら金額を明らかにできません。
というのも、日本での取り扱いが極端に少ないため。はっきりした値段の情報が見当たらないのです。
ジャーマンレックスを買うのは至難の業?ブリーダーから買えるの?
ジャーマンレックスを実際に手元に置いて可愛がりたいとなると、なんらかの方法で購入しなければなりません。
ですが、はっきり言って日本国内で買うのは至難の業!どの方法であっても、手に入れるのは難しいのです。
ペットショップやブリーダーから買える可能性はゼロに近い
子猫を入手するところといってまず大抵の人の頭に浮かぶのがペットショップです。
しかし、ペットショップで販売されているのは人気種が中心。希少なジャーマンレックスを自宅近くのペットショップで見つけることは、まず不可能と考えてよいでしょう。
では、猫を育てているブリーダーから直接買うという方法はどうでしょうか?これも、望みとしてはかなり薄いんです。
現在のところ、日本でジャーマンレックスを扱っているブリーダーはほぼいないと思われるからです。
したがって、里親制度をあてにするのも到底無理だということになります。
頼みの綱は海外からの輸入代行
ただ、ジャーマンレックスを得る道がまったくないわけではありません。子猫を求める目を海外へ向けるのです。
海外でのジャーマンレックスの価格相場を調べてみると、500~800ドルという情報が見つかりました。びっくりするほどの高額、というわけではないようですね。
しかし、猫の輸入代行などを利用して海外からジャーマンレックスを入手する場合、支払い金額はこれだけではないことに注意してください。
この合計金額を支払うことになります。
ジャーマンレックスは、原産地であるドイツからアメリカやフランス、イギリスといった国々へと広まっていきました。
でも、そういった国でさえ取り扱うブリーダーは決して多くはありません。
日本国内どころか世界レベルで希少!といっていい猫種なのです。
ジャーマンレックスの特徴や魅力はこれ!
ここで、あらためてジャーマンレックスの特徴や魅力に迫ってみましょう。ジャーマンレックスには以下のような特徴が認められます。
- 短くてカールした毛
- 種類豊富な毛色
- すらりとした細身の体
では、1つずつ順に見ていきましょう。
ヒゲもしっぽも巻き毛になってる!?ジャーマンレックス
なんといってもジャーマンレックスの1番の魅力は、くりくりとカールした毛です。
特に背中の部分やしっぽにその特徴が目立って現れますが、中にはヒゲの1本1本までカーブを描いているジャーマンレックスもいます。
毛の長さは短いものの、触り心地はしっとり。ベルベットやシルクに触れるよう、と例えられています。
また、比較的抜け毛が少ないタイプなので、ブラッシングの手間が少なくて済むのがメリット。更にもう1つの利点として、アレルギーが出にくいとも言われています。
ジャーマンレックスの毛色はバラエティに富んでいる
巻き毛はジャーマンレックスという品種の共通点ですが、色や柄という面ではさまざまなバリエーションが見られます。
例えば、黒や白、チョコレート、クリーム、シナモンといったカラーです。
また、巻き毛の上にタビーという縞模様が現れる子もいます。
ジャーマンレックスの体型はほっそりとしたオリエンタル
ジャーマンレックスの体型に目を向けると、やや胸部が広いもののすっきりとした細身。猫のボディタイプとしては、もっともスリムなオリエンタルに入ります。
筋肉の発達した体に細長い足がバランスよく伸びています。
ジャーマンレックスの基本的な性格は主にこの3つ!
さて、一緒に暮らすとなると猫の外見的な特徴にばかり気を取られてはいられません。
どんな性格をしているかということが人の生活にも大きく影響してくるので、チェックしておきたいですね。
ジャーマンレックスの基本的な性格は次の3つです。
ジャーマンレックスは人懐っこくてフレンドリー
ジャーマンレックスは友好的な性格で、新しい家族と打ち解けるのに時間がかかりません。
猫の仲間はもちろん人にも深い愛情を寄せてくれ、飼い主さんと同じ空間で過ごすことや遊んでもらうことを好みます。
ファミリー層の小さな子供たちともよき友人となれるでしょう。
頭がよくて従順!しつけやすいジャーマンレックス
ジャーマンレックスは比較的高い知能を持った猫です。人の話すことを聞く耳や状況を読む力、従順さを兼ね備えているので、しつけもスムーズに進められるはず。
何かトラブルが起こっても自分からすぐに攻撃に出ない我慢強さや優しさにも秀でています。
ジャーマンレックスは活発で体を動かす遊びが大好き
活発な性格のジャーマンレックスは、体を動かすことが大好きです。のびのび活動できるスペースや飼い主さんに相手をしてもらう時間があると、イキイキした動きを楽しめるでしょう。
頭のよさを活かしてか、海外では訓練を受けてアクロバティックな芸をこなすジャーマンレックスもいるそうですよ。
ジャーマンレックスの体重と寿命はどれくらいになるの?
日本で直接目に触れることはあまりないジャーマンレックス。具体的にどれくらいまで大きくなるのか知るためには、成猫の体重が目安になります。
それに先々のことを思うと、寿命がどれくらいなのかも気になる点です。
ジャーマンレックスの平均体重は2.5kg〜5.4kg!
ジャーマンレックスの平均体重は、以下の表のようになっています。
オス | メス |
---|---|
3.5kg~5.4kg | 2.5kg~3.6kg |
猫の体重としてはやや軽めです。スレンダーなボディタイプと合わせて考えると、体の大きさは中くらいを想定しておくとよいでしょう。
ジャーマンレックスの平均寿命は11年〜14年!
では、将来的にどれくらいの期間をジャーマンレックスと一緒に過ごせるのでしょうか?平均寿命を調べるとこのような数字となっています。
猫全体の平均寿命15年からすると、少し短い年数と言えるかもしれません。
でも、ジャーマンレックスには特に注意すべき遺伝疾患がないようです。健康管理をしっかりと行って、平均を超える年数をともに暮らしていきたいですね。
ジャーマンレックスとコーニッシュレックスの違いはわずか!
ジャーマンレックスとほかのレックス種には巻き毛という共通点があります。中でも特に似ているのが、上の画像のようなコーニッシュレックス。
原産国がドイツ、イギリスと距離的に近く、発見された年代も同じくらいです。
この2つの品種には何か違いがあるのでしょうか?
2つの品種は遺伝子的にも似ている
実はこの2つの品種、巻き毛を司る遺伝子に注目するとよく似ていることがわかっています。
後にコーニッシュレックスと同じイギリス国内でデボンレックスが見つかっていますが、この2種の巻き毛遺伝子は別です。
異種での交配の結果を見ると、コーニッシュレックスとデボンレックスを親とする子猫には巻き毛が出ません。
しかし、コーニッシュレックスとジャーマンレックスとの間には巻き毛の子猫も生まれることがあり、適合性があることが判明しています。
こうした理由からコーニッシュレックスの歴史では、健康的な繁殖のためにジャーマンレックスが用いられることもあったのです。
ジャーマンレックスを登録品種として認めていない団体もある
猫の登録団体の中には、そんなジャーマンレックスを1つの品種として認めていないところもあります。
コーニッシュレックスは、CFAやFIFe、TICA、GCCFといった猫の登録団体に認められている品種です。
ジャーマンレックスの方はといえば、FIFeやWCFには登録されています。
しかし、コーニッシュレックスと類似しているという理由により、別の品種としてとらえていない団体も存在するのです。
そんな事情も、ジャーマンレックスがマイナー品種となっている状態に関係しているのかもしれませんね。
ジャーマンレックスを飼う時に注意するべきことはこの3つ!
珍しいジャーマンレックスをいざ飼うことになったら、何か特別に注意すべき点はあるのでしょうか?飼い方のポイントを確認しておきましょう!
適度に運動できる環境を整える
活発に動くことを好むジャーマンレックスのために、自然と運動できるような室内環境を整えてあげましょう。
体を動かす機会が少ないと、せっかくのスリムな体型が崩れるばかりか健康を害してしまうことにもなりかねません。
家具の配置を見直して、愛猫が上下運動できるように工夫してみてください。高さのあるキャットタワーなど市販のグッズを設置してあげても、喜んでくれるはずですよ。
飼い主さんとの触れ合いの時間をとる
飼い主さんの時間にゆとりがある日には、愛猫に話しかけ遊びの相手をしてあげてください。
ジャーマンレックスは、ひとりぼっちで過ごすより誰かと一緒にいる方を好みます。
ですが、我慢強いところがあるので不満があってもすぐに訴えず、知らないうちにストレスを溜めてしまうことも。
特に日中留守がちになってしまうのなら、意識的に愛猫と触れ合う時間を作りましょう。
寒い季節の温度管理に注意する
寒い季節には、温度の変化に気をつけてあげる必要があります。
ジャーマンレックス自慢の巻き毛は短め。ブラッシングの世話という意味ではあまり手間のかからない長さですが、キビシイ寒さから体を守るには不足気味です。
気温の低下を感じる季節になったら、ぬくぬくした猫ベッドや毛布を用意してあげましょう。また、エアコンで室内の温度管理をすることを忘れないようにしてください。
ジャーマンレックスを飼うのに向いている人はこんな人!
特徴や性格、飼い方などさまざまな方向からジャーマンレックスを見てきました。こんなジャーマンレックスの飼い主さんとして向いているのは、次のような人です。
- 広いスペースのある環境の家庭
- 子供のいるファミリー層
- 多頭飼いを予定している人
- 猫と遊ぶ時間が確保できる人
運動好きのジャーマンレックスは、広いスペースがある環境だとのびのび体を動かせるでしょう。
また、子供がいる家庭など構成人数が多ければ、愛猫が寂しさを感じずに済みます。
ジャーマンレックスは、ひとりで静かに過ごすより誰かの近くにいることを好むタイプです。同じ理由で多頭飼いしたい人にも適しています。
もし一人暮らしであっても、定期的に遊ぶ時間をとれる人なら大丈夫ですよ。
コーニッシュレックスと似た品種であり、血統種としてはジャーマンレックスの方が希少。
もし歴史の流れが違っていれば、ジャーマンレックスの方が主流になっていたのでは?という運命を感じます。
世界的にも数が少ないジャーマンレックスは、日本で飼おうと思ってもなかなか手に入れにくいのが現状です。
それでも、どうしてもこんな雰囲気の猫が欲しいと考えているのなら、コーニッシュレックスを候補にするのもよいかもしれませんね。