水玉模様やかぼちゃ、「インフィニティ・ミラー・ルーム」で世界的に知られる前衛芸術家の草間彌生さんが14日に死去したことが、27日に発表された。97歳だった。
1929年、長野県松本市生まれの草間さんは、絵画や彫刻、インスタレーションなど幅広い分野で創作を続けてきた。57年に渡米し、ニューヨークを拠点に前衛芸術家として活動。その後も独自の表現を追求し、繰り返される水玉や網目、かぼちゃなど、一目で草間さんの作品と分かるスタイルを確立した。
世界各地で作品を発表し、「水玉の女王」とも呼ばれる草間さん。特に鏡と光を組み合わせた「インフィニティ・ミラー・ルーム」は、SNS時代とも相性が良く、若い世代を含む幅広い層から人気を集めた。97歳まで創作を続けた草間さんは、日本を代表する現代アーティストの一人として、世界の美術界に大きな足跡を残した。
そんな草間さんは、中国の観客にとっても決して遠い存在ではない。中国で草間さんの作品が大きな注目を集めるきっかけとなったのが、2013年の上海での大規模個展だった。
同年12月、上海当代芸術館で中国で初めてとなる大規模個展「草間彌生―我的一個夢(A DREAM I DREAMED)」が開幕。100点以上の作品が展示され、代表作のかぼちゃや水玉作品、大型インスタレーションなどを見るため、多くの中国人が会場を訪れた。
19年には上海の復星芸術センターで「草間彌生―愛的一切終将永恒(ALL ABOUT LOVE SPEAKS FOREVER)」が開催され、かぼちゃや水玉、「インフィニティ・ミラー・ルーム」などの代表作が再び中国の観客を魅了した。
そして24年にも、草間さんの作品は上海に登場した。6月1日から7月13日まで、上海・外灘エリアの大田秀則画廊で「草間彌生:毎天我都為愛祈祷(Every Day I Pray For Love)」が開催された。同展では、21年以降に制作された同シリーズの絵画56点と新しい手稿が展示された。90代になっても新たな作品を発表し続ける草間さんの創作活動は、中国でも大きな関心を集めた。
10年以上にわたり、草間さんの作品は上海で中国の観客と出会い続けてきた。そのため今回の訃報を受け、中国のSNSには過去の展覧会で撮影した写真を投稿し、草間さんをしのぶ人も少なくない。
「まさか、あの時に撮った写真が思い出になるとは」
「初めて『インフィニティ・ミラー・ルーム』に入った時は、芸術のことはよく分からなかった。でも、本当に圧倒された」
「何時間も並んで、かぼちゃを見に行ったことを覚えている」
「素晴らしい作品を残してくれてありがとう」
「97歳まで創作を続けた。本当にすごい人生だった」
中国のSNSで目立つのは、草間さんの芸術を専門的に論じる声だけではない。
上海で見たかぼちゃ、展覧会のために並んだ長い行列、初めて入った「インフィニティ・ミラー・ルーム」――。草間さんの作品をめぐる体験そのものを、懐かしい思い出として振り返る投稿が多く見られる。
ある中国人にとっては、草間さんの作品との出会いが、若い頃の記憶の一部になっている。
「水玉はまだ残っている。かぼちゃも残っている。ただ、草間さんがいなくなった」
中国のネット上に寄せられたこの言葉には、世界的な芸術家を失った悲しみだけでなく、自分自身の過去の記憶と共に草間さんを見送る中国の人々の思いが込められている。(翻訳・編集/RR)











