香港メディアの香港01はこのほど、中華全国商工業連合会の常務委員でもある香港中華総商会の楊華勇副会長が執筆した、最近の中国外交を解説する論説を掲載した。楊副会長は、中国の習近平国家主席は9月下旬に渡米してのトランプ大統領との会談を予定している一方で、多くの発展途上国への訪問を猛烈な勢いで続けていると指摘。

中国外交も世界ももはや、米国を中心に回っている状態ではないと指摘した。以下は、楊副会長の文章の主要部分を再構成したものだ。

習主席は8月30日から9月3日までの間に、キルギス首都のビシュケクで開催された上海協力機構(SCO)の首脳会議に出席し、さらにエジプトを公式訪問した。習主席はビシュケクでキルギス、ウズベキスタン、モンゴル、ロシアなどの多くの国の指導者と会談し、「SCOのより質の高い発展の実現を推進する」と題した重要な演説を行った。

SCOの安全保障と経済協力を強調する方向性は、一極支配の秩序に対抗する色彩が強い。習主席は演説で、名指しはしなかったが「覇権主義、一国主義、保護主義が時代の流れに逆らって動いている」と批判し、大多数の国は強権政治に同意していないと論じ、「平等で秩序ある世界の多極化」を強調した。これは、グローバルガバナンスにおける中国の役割の明確な宣言だ。

習主席にとってエジプト訪問は10年ぶりだった。エジプトはアフリカ、中東、欧州とアジアの交差点に位置し、スエズ運河の要衝を握っており、中国にとって巨大な市場であるだけでなく、アフリカ、アラブ世界、欧州に進出するための重要なルートでもある。中国企業は近年、エジプトでの新行政首都の中央ビジネス区、アフリカで最も高いビルであるアイコニックタワー、カイロ東部のラマダン10日市でのライトレールなどの象徴的なプロジェクトを請け負っている。

さらに注目に値するのは、中国とエジプトの安全保障協力の格上げだ。中国は昨年、初めて戦闘機を派遣して中国とエジプトの合同軍事演習の「文明の鷹」に参加したが、中国は今年8月下旬に再び合同演習を行った際、派遣する戦闘機をJ-10Cから航続距離と搭載能力がより強力なJ-16へと格上げし、エジプトが保有するフランス製のラファール戦闘機と近接空戦訓練を展開した。

この軍事協力の強化は、エジプトが中国製の装備を調達するとのうわさを再び過熱させた。

習主席についてはさらに、9月12日から13日にインドで開催されるBRICS首脳会議に出席する可能性が極めて高いとの見方がある。中国とインドの関係の障害は領土問題であり、2020年には国境地帯で両軍兵士が「乱闘」して24人が死亡する事態が発生した。しかし2026年8月にはインドのドバル国家安全保障補佐官が訪中し、中国の王毅外相と共同で中国・インド国境問題特別代表会談を主宰し、8項目の共通認識に達した。ドバル氏の北京行きは、まさに習主席のインド訪問に向けた地ならしである可能性が高い。

習主席がBRICS首脳会議に出席すれば、インド訪問自体が大きな意味を持つ。すなわち、「中国には意見の相違がある隣国と対立を管理、統制し、関係を修復する能力も意欲もある」というメッセージの発信だ。そのことには、「グローバルサウス」の指導者としての中国のイメージを確立する狙いもある。

9月下旬に行われる予定の「第2回習近平・トランプ会談」も含めれば、習主席は1カ月以内に少なくとも4カ国を慌ただしく巡ることになる。このような「習近平・トランプ会談」の前に休みなく立ち働く外交のペースは、それ自体がはっきりとした戦略的シグナルだ。すなわち「対米関係は中国にとって最も重要な外交関係だが、中国の外交は米国を中心に回ることはなく、この世界も米国だけを中心に回ることはない」という意思表明だ。

そのことは、中国としての「いかなる単一の強国にも依存せず、より公正で合理的な多極化世界の構築に尽力する」という意思表明でもある。

(翻訳・編集/如月隼人)

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