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「植木等とのぼせもん」最終回。植木がクレージーキャッツの呪縛から吹っ切れる。サヨナラ、サヨナラ

2017年10月23日 09時45分 ライター情報:近藤正高
9月から放送されてきたNHK総合の土曜ドラマ「植木等とのぼせもん」が、10月21日、ついに最終回を迎えた。前回、植木等の付き人を務めてきた小松政夫は、晴れて独り立ちが許された。最終回では、すっかり人気者になった小松と、クレージーキャッツから離れて活躍するようになった植木のその後が描かれた。
クレージーキャッツのメンバーの最後の出演映画となった「会社物語 MEMORIES OF YOU」(市川準監督、1988年)。植木がクレージーに参加して、このとき31年が経っていた。すでに芸能界を引退していた石橋エータローも写真で登場する

紅白のステージに向かう師を、弟子が送り出す


1977年に舞台『王将』に主演した植木(山本耕史)。楽屋へ久々にあいさつに訪れた小松(志尊淳)が、母親のハツエ(富田靖子)を初めて植木に引き合わせる。そのとき、母に乱暴な口を聞く小松を、植木がたしなめると、居合わせた植木の父・徹誠(伊東四朗)が「息子はいつまで経っても息子ですな」と笑いながら母に声をかけた。

「スーダラ節」の歌詞に違和感を抱きつつも、無責任男のキャラクターで一世を風靡した植木は、50歳にしてようやくシリアスな役を演じるようになった。しかし、そんな彼に、徹誠は「おまえはさ、無責任やっていたときのほうが本当のおまえだったのかもしれないな」と意味深なことを言い残し、まもなくしてこの世を去る。

このあと、小松と旧知の人々のその後が描かれる。かつての片思いの相手、みよ子(武田玲奈)は、親友の元俳優・久野征四郎(中島歩)と結婚し、スナックを構えていた。小松が高倉健主演の映画「居酒屋兆治」に出演し、植木が黒澤明監督の大作「乱」に抜擢された1980年代半ばのことだ。

場面は移り、1986年。病床にあった事務所社長・渡辺晋を植木が見舞う。そこへハナ肇(山内圭哉)らクレージーキャッツの面々とザ・ピーナッツの二人(鈴木みな・まりあ)が集まり、しばし同窓会のように盛り上がった。このあとすぐ渡辺は死去、お別れの会でハナと植木はまた顔を合わせる。植木はこのころ、レコード会社から往年のクレージーのヒット曲を再び歌う企画を持ちこまれていた。しかし、あの時代の曲はクレージーあってこそと気兼ねする植木に、ハナは遠慮なく歌うよう強くすすめる。

会が終わったあと、小松と二人きりになった植木は、父と渡辺を失い、どうしたらいいのかわからないとぼやく。ここで小松からも再び歌うことを熱望されるも、「植木等はもうお呼びじゃないんだ」と頑なにつっぱねる。

だが、後日、自宅で植木が昔の雑誌記事をめくっていると、妻の登美子(優香)が、ふと、渡辺晋が彼について語っていたという言葉を伝える。それは、「20年後も、30年後も、きっとみんなはあなたの話をする。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

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