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江ノ島で貝がたくさん売られている理由

泣く子も黙るオシャレスポット・湘南エリアに位置するにも関わらず、射的の遊技場が残るなど「懐かしの昭和の観光地」の佇まいを強固に維持し続けている江ノ島。

そのユルい雰囲気と猫の多さゆえ、個人的には大好きな場所なのだが、その江ノ島でかねてから気になっていたことがある。それは「ここにはなぜこんなに貝細工や貝そのものがお土産屋に並んでいるのか。そしてそれは誰が買っているのか。店のかなりのスペースを埋めているということは売れ筋商品なのか」といったギモンである。

そこで江ノ島エスカーを乗り継ぎ、頂上近くにある「世界の貝の博物館」を併設する貝広物産店を訪れ、ご主人の片野義雄さんに上記の(一部失礼な)質問をぶつけてみた。片野さんは江ノ島で3代続くお店のご主人で、こと江ノ島に関しては歴史の生証人みたいなお方なのである。

「江ノ島っていうのはね、この浮世絵に描かれているとおり、江戸時代から貝細工が名産で、お土産として売られていたんですよ」と片野さん。

「僕が子どものころ、そうね、40年くらい前までは、シーズンオフの冬場は家でお土産用の貝細工を作っていたもんですよ。でも15年くらい前からかなぁ、後継者もいないし、買う人も少ないしで、ほとんどフィリピンなんかからの輸入品になっちゃいましたね。今どき日本で貝細工作ってる人なんてのは、それこそ生きた化石ですよ」

つまり江ノ島は江戸時代から貝細工の名産地であったが、時代とともに生産者および購入者がいなくなり、けれども「名産品」としてのイメージは残っているから海外からの輸入などでそれを補填し維持し続けているというわけ。しかしそこまでして残した遺産を、買う人というは果たしてどれくらいいるのだろうか。

「貝細工を買って帰る人は少ないですよ(笑)。あなただって欲しくないでしょ。最近は近所付き合いのないマンション暮らしの人ばかりで、お土産を買って帰ることすらしないし、うちだって全然売れないけど、まぁ仕方ないから置いてるんですよ(笑)」と売り手とは思えない率直な意見を語る片野さん。

しかし、お土産としての貝は売れなくても貝コレクターというのは結構いるらしく、片野さんのお店は最近はコレクター向けの販売を強化しているとのこと。この日もコレクターらしいお客さんがきていて、珍しい「オキナエビスガイ」を眺めてため息をついていた。

ちなみに横浜育ちの母によれば、子どものころは江ノ島でしょっちゅう貝を買っておはじきなんかにしていたそうで、「え、今の人は貝は買わないの?」と驚いていた。この時代感覚はあるいは江ノ島のお土産屋さんに共通するものかもしれない。

失われた子どもたちのための貝を売りつづける失われない江ノ島は、もうすぐ海開きを迎える。
(エキサイトニュース編集部 みと)

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