細菌学者のアレクサンダー・フレミングは、細菌の中に生えてしまった青カビの周りにだけ細菌が増えていないことに気づき、世界初の抗生物質「ペニシリン」の発見につながる研究をおこなった。また、2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹氏は、子どもの頃、お風呂を薪で沸かす手伝いをしていた際に、燃えるものによって炎の色が変わる「炎色反応」を知らず知らずのうちに観察していたという。
ほんの小さな好奇心が科学者を動かし、人類を進歩させる。書籍『めくってオモロい マジすか科学』(Gakken)は、そんな"どうしてだろう"と思う心をくすぐる、科学にまつわる話を収録した一冊だ。
少し汚い話になるが、たとえば「おなら」。人前でおならが出そうなとき、多くの人は我慢するだろう。では、我慢したおならはどうなるのだろうか。通常、出しそこねたおならは腸の中で待機し、腸の動きが活発になったタイミングで再び出てくる。また、おならの成分の多くは大腸に吸収されて血液に取り込まれ、肝臓で臭いが処理されるという。しかし、本書によると、あまりに我慢し続けると大変なことになる可能性があるそうだ。
「おならをがまんし続けると、血液中のガスの量が増え、肝臓で臭いを消しきれなくなり、それが口から出てしまうことも。つまり、臭い息になる可能性もあるのです!」(本書より)
また、毎日飲まないと気が済まないという人もいるであろう「コーヒー」。最高級のコーヒーとして知られる「コピ・ルアク」が、ジャコウネコの排せつ物から採取されたコーヒー豆を利用して作られることは知っている人も多いかもしれない。しかし、コーヒー豆が実は「マメ」ではないということはご存知だろうか。
「コーヒー豆はコーヒーノキという木にできる真っ赤な果実の中にある『種』。マメ科植物じゃないけど、豆に似ているから『コーヒー豆』と呼ばれているんです」(本書より)
確かに、一般的な豆はサヤに入っているが、コーヒー豆がサヤに入っているところを見たことはない。コーヒーの木を見れば豆ではないことが分かりそうなものだが、言われてみるまで気づかなかった。
コーヒーと同じく、日常的に飲まれている「お茶」についても"マジすか"な話がある。茶葉を使って淹れる主なお茶といえば、「緑茶」「紅茶」「ウーロン茶」。それぞれ異なる味わいを持つが、実はこれらの茶葉はすべて同じものだ。
茶葉は摘み取ったあとに発酵の過程を経る。その発酵を止めるタイミングによって、緑茶になるのか、紅茶になるのか、それともウーロン茶になるのかが変わるという。
「緑茶は早いうちに熱を加えて発酵を止めるので緑色のまま。紅茶は湿度の高いところにしばらく置くので発酵が進み、赤茶色に。烏龍茶は緑茶と紅茶の中間くらいで発酵をストップさせています」(本書より)
もっとスケールの大きい話をしよう。地球上で最も標高が高い山は、ヒマラヤ山脈のエベレストだ。
チンボラソの標高は6268メートル、エベレストの標高は8849メートル。どう考えてもエベレストのほうが高いように思えるが、一体どういうことなのだろうか。
「地球は実は楕円形をしているので、地球の中心から山の高さを測ると、チンボラソは約6384km、エベレストは約6382kmに! チンボラソのほうが高く、宇宙に近いのです」(本書より)
まさか地球が楕円形をしていたとは......。完全に盲点である。
そんな地球だが、本書によると、実は毎年約5万トンも軽くなっているという。1年間に約4万トンのちりが宇宙から降り注いでいるにもかかわらず、5万トンも軽くなっているのだ。
合計9万トンも何が地球から消えているのか。その答えは、主に「水素」と「ヘリウム」。これらは非常に軽い物質であるため、地球の重力では引き留め続けることができない。
毎年それだけ減っていると聞くと、いつか地球は驚くほど軽くなるのでは......と思うかもしれないが、安心してほしい。5万トンは地球の重さからみればごくわずか。減っていても、あまり影響はない。ただし、水素はまだまだたくさんあるが、ヘリウムは数十年後にはなくなるかもしれないとのことだ。
知っているようで意外と知らない身近な科学。本書はそうしたテーマを驚きとともに、分かりやすい文章でやさしく解説している。大人から子どもまで、多くの人の知的好奇心を刺激してくれる一冊だろう。