2021年にAKB48を卒業し、新たな道を歩み始めた峯岸みなみ。『女子メンタル』(フジテレビ系)での雄姿も記憶に新しく、近年はバラエティーでの活躍も目立つ峯岸だが、2022年は思い入れのある舞台作品でスタートを切る。
【写真】ポニーテールがかわいい!峯岸みなみ
◆“なんだこれ!”衝撃を受けた作品のオファーに興奮と戸惑い
峯岸が出演する『ロッキー・ホラー・ショー』は、1973年の舞台初演からまもなく50年を迎える、カルト的人気を誇るロックミュージカル。古田新太が今回3度目にしてラストとなる主人公のフランク・フルター役を務めるほか、小池徹平、ISSA、武田真治、岡本健一ら個性派キャストが顔をそろえる。演出の河原雅彦、振付のMIKEY(from 東京ゲゲゲイ)が作り上げるポップでキッチュな世界観の中で、峯岸はフルターを信奉する使用人・コロンビアを演じる。
――峯岸さんは、2017年に行われた前回の公演をご覧になっているとか。その時はどんな感想をお持ちになりましたか?
峯岸:“なんだこれ!”みたいな(笑)。どういう作品か知らず、古田さんがビスチェとガーターベルト姿の格好をしているというビジュアルだけで面白そうだなと思い観に行ったんですが、いつもテレビで見ている一流の人たちが楽しく歌って踊って、ちょっと18禁というか、ディープな世界もあって、かっこいいなってしびれました。
観客参加型でとにかく楽しくって、あんなことができる大人になれたらいいなって。でも、=この作品に出たいということではなく、自分がそのステージに立つことを全く想像していなかったので、オファーを頂いて、ものすごく驚いてうれしくて興奮しました。
――では、オファーには即答で…
峯岸:いえ、即出ます!というよりは、出たい…です…という感じで。お芝居とか歌とかあまり自信がある分野ではないので、自分に務まるかなって。あの時に観たものが素晴らしかったからこそ、そこで自分がしっかり役割を果たせるのかっていう不安がありました。
――強烈な世界観を強烈な共演キャストの皆さんと作り上げていくことになりますが…。
峯岸:皆さん、遊び心がある方たちばかりで、いろんな引き出しがすごくて。みんな本気で遊んで本気でふざけているところが一流であるが故なんだろうなって実感しています。ふざけると言うと言葉では軽いですけど、決められた本や演出がある中ではなかなかできないこと。客席では楽しく見ていましたが、中に入ってみたらこれは意外と計算された真剣な“ふざけ”なんだっていうギャップに戸惑いながら、(自分も)もっと楽しめればいいのになって。まだちょっと自分の中の真面目さが邪魔して闘っている部分がありますね。
――峯岸さんも率先して楽しんでいそうなイメージがあったので意外です。
峯岸:AKB48の中でも突拍子もないというか、はじけたキャラクターという印象を持たれることが多いと思うのですが、実は考えすぎて不安になる性格だったりするんです。稽古に入ってから、なんで自分はこんなにつまらないんだ!って思う日々の連続。もっとはっちゃけたい、もっとふざけたい、もっと面白おかしくやりたいって思うのに、自分でブレーキをかけちゃうところがあって。ちょっとずつそのブレーキを踏まないようにしているんですけど、やっぱりどうしても羞恥心や理性が邪魔することがあって、そこを早く取っ払えるようになりたいっていう葛藤の日々です。
――ポスターのビジュアルがド派手でインパクトのあるもので、これまでの峯岸さんのイメージとは違い驚きでした。
峯岸:水着のグラビア以外では過去イチ露出の高い、ほぼ水着のような布面積で。
――お稽古中の古田さんはどんな方ですか?
峯岸:古田さんは大御所で座長なので「俺はこうしたいんだ!」と主張してもおかしくないのですが、「あ、そうするなら俺はこうするよ」とその場を楽しんで柔軟にやられるんです。あの古田さんがここまでフットワーク軽く動いてくれるんだって感動します。また、ちょっとした時間に、この先ずっと心に残って、節目節目で思い返すことがあるんだろうなっていう言葉をかけてくれるんです。一番近い特等席で古田さんの“フルター”を見られることってすごく光栄なことなんだなって感じています。
――ちなみに、演出の河原さんは今回のテーマを「変態祭りの集大成」とおっしゃっていますが、峯岸さんの中の“変態性”は…。
峯岸:ピアスの穴のにおいがめっちゃくさいんですけど、かいじゃうんですよね(笑)。あとは、逆境に強いというか、追い込まれた時ほど力を発揮するマゾっぽい部分があるというか、辛くないと頑張れてる気がしないという…。辛いことは好きなので、今回もすごく楽しめていたら“自分大丈夫かな?”って思っていたと思うんですけど、結構悩んでいるので、きっとどっかで開くんだろうなっていう感覚があります(笑)。
◆30代は真面目さや遠慮を取っ払い、人間的に面白くなりたい
――2021年はAKB48卒業という大きな節目の年でした。卒業からの7ヵ月はいかがでしたか?
峯岸:まだ卒業から一年経ってないんだっていうくらい、目まぐるしく、あっという間でした。卒業した後、休んだりゆっくりしたりするのかな?と思ってたんですけど、ありがたいことにお仕事をいっぱいやらせていただいて。実はバラエティーはすごく楽しいんですけど、芸能界を長くやっていきたいので、いま身を削りすぎてこの先大丈夫かな…と卒業後ちょっと迷路に迷い込んでいる自分もいたのですが、河原さんがバラエティーを見て今回のオファーを出してくださったそうなんです。何事も全力で頑張っていればまた何かにつながっていくんだな、って思えて、すごくうれしかったです。
――デビューから16年が経ちますが、峯岸さんにとってターニングポイントになった作品は何でしょう?
峯岸:15歳くらいの時に『メン☆ドル』(テレビ東京系)っていうノースリーブスの3人が男装してアイドルデビューするっていうドラマで、ロリータの天然ちゃんというか、ぶりっ子の役をやったんです。それがすごく楽しくて! まったく違う自分になれて、しかもそのドラマで私のことを好きになってくれた人が握手会に来てくれて、役と実際の私のギャップに驚いてくれた時に、“演じるっていうのはすごく面白いんだ!”と演技に興味を持ちました。
――では、これからも女優さんとしての活動も積極的に続けていきたい感じですか?
峯岸:正直、『メン☆ドル』以外、出演した作品の中で自分のお芝居がよかったなとか、手ごたえを感じることがあまりなくって。ですけど、趣味や夢中になれることもほとんどなく、AKB48が唯一それだった私の人生で、自分って何が好きなんだろう、何をしている時に時間を忘れられるんだろうって考えた時に、舞台はお稽古から本番までずっと通して、夢中になれるものだったんです。人生で悩んでる時とか落ち込んでいる時によく舞台を観に行ってたんですが、観る側としても舞台には夢中になれて、いざステージに立つ側の人間になってもそれは変わらなくて、人生で初めてできた夢中になれるものっていう感じですね。なので、機会があれば絶対挑戦したいです。
――『女子メンタル』での峯岸さんの頑張りも印象的でした。
峯岸:あの番組はとにかく緊張していて、最初は闘うというか、負けないように、面白い自分でありたいって思っていたんですけど、始まったらそっちの意識よりも、みんなでこの場をどうするかみたいな、チーム戦みたいな感覚になったんですよね。優勝した時もうれしかったですけど、この時間を面白い、より実りのある時間にしなきゃっていう意識が、皆さんの中に見えたこともうれしくて。あのメンバーで力を合わせて勝ち取ったっていう、部活みたいな気持ちでした。初回で何も分からない中で、基本的に目の前の人は笑わないので、正直、“これ誰に受けてんのかな、大丈夫か?”ってやりながら思ってたんですけど、終わった後に松本(人志)さんに“めっちゃおもろかったな”みたいに言われて、あ、これでよかったんだって。
――2022年、峯岸さんは30歳を迎えられます。どんな30代を迎えたいという思いがありますか?
峯岸:面白くなりたいです。お笑い的な面白さももちろんですけど、人間的に面白いって思われたいんです。けど、自分の真面目なところや日本人的な遠慮とかがすごく邪魔するんですよ。だから、30歳からは、そういう気を遣ったり嘘をついて遠慮するというのを取っ払いたいなって。この作品で2022年がスタートするっていうのは、自分の憧れていた30代に行くルートとして一番いいスタートの切り方。この作品で感じた自由さや面白さを引っ張りつつ30歳になることが楽しみですね。少数派になったとしてもそこを怖がらずに、私はこうです!って声を大にして言える30歳になりたいなって思うので、少数派万歳!のリハビリの一歩のつもりで楽しみたいです。
パルコ・プロデュース2022『ロッキー・ホラー・ショー』は、東京・PARCO劇場にて2月12日~28日、大阪・森ノ宮ピロティホールにて1月20日~23日、広島・上野学園ホールにて1月29・30日、北九州・北九州芸術劇場大ホールにて2月4日~6日上演。※最新スケジュールは公式サイトでご確認ください