
原作は、第145回直木賞を受賞した池井戸潤の同名小説『下町ロケット』。阿部寛演じる主人公・佃公平は、かつて宇宙開発機構の研究員だった。しかし、自分が開発したエンジンを載せたロケットの打ち上げ失敗の責任を問われ、退職。父親が遺した「佃製作所」を継ぎ、経営者として第二の人生を歩み始める。ロケット開発への夢を捨てきれず、かさむ研究開発費。そんな中、大口顧客からの取引中止を宣言される。窮地に陥った佃製作所に追い討ちをかけるように、さらなるトラブルが持ち上がり──というストーリー。
立川談春、イヤ〜な敵役からけなげな女房役に転身
TBS日曜よる9時の池井戸潤ドラマといえば、「半沢直樹」「ルーズヴェルト・ゲーム」でもおなじみの、イヤ〜な銀行員。今回、佃製作所のメインバンクは青島製作所(ルーズヴェルト・ゲーム)と同じ白水銀行。困り果てた阿部寛を、春風亭昇太(融資担当)と東国原英夫(支店長)がねちねちいじめる。

「ルーズヴェルト・ゲーム」で、わっるーい敵役を演じた立川談春の役どころは、佃製作所の経理部長・殿村。
「普段は男臭くやってるんだけど、ホントに困ったときに社長(阿部寛)を軌道修正するのは女の人。別れた奥さんだったり、娘だったり。じつは殿村も、感性は女の人なのかなって」(立川談春)

元妻は「もっと優しくすればよかった」と後悔
真矢みきが演じる、主人公の元妻・沙耶は、宇宙開発機構の研究員。佃が町工場を継いだ後、「今のあなたには夢も希望も感じられない」(大意)と三下り半をつきつけ、家を出る。今も、何かと気にかけ、素直に頭を下げられない夫の危機をいち早く察知し、助けの手をさしのべる。
真矢は「もっと佃さんに優しくすればよかった。なんで別れたんだろう、大変なときなのに」とコメント。元夫婦の関係が今後、どうなっていくのかも気になるところだ。
大企業の部長を演じる吉川晃司「撮影現場でも板挟みです」
和気あいあいと、アットホームな雰囲気で盛り上がる佃製作所チーム。吉川晃司が負けじと「けっこう、こっちも仲良くなってるんですよ」とアピールする。役どころは、佃製作所とは好対照の巨大企業・帝国重工でロケット開発プロジェクトを推進する財前部長。
撮影現場で杉と仲良くなり、「十手の使い方や殺陣のやりかたを教えてもらっている」という吉川。杉の口調を真似ながら、「現場で”財前、あと何回撮るんだ?”と聞かれたりするんですよ。”この監督は長いから、あと3〜4回ですかね”って答えると、“俺の中ではもう終わってる”って」と、やりとりを再現し、会場をわかせた。

“死んだ目”の男はあくまでもマイペース
吉川は今作がTBSドラマ初出演。杉は『水戸黄門』(昭和44年8月〜46年5月)での助さん役以来、じつに44年ぶりのTBS連続ドラマ出演となる。ほとんどしゃべらなくても迫力満点。「頼むぞ」「よくやった」のひと言の重みは、まさに大企業のトップそのもの。そんな杉と吉川のもとで、開発メンバーを束ねる主任として活躍するのが、“死んだ目の演技”が大評判の新井浩文だ。
「僕は役も部長で、上と下に挟まれ、撮影現場でも監督と杉さんの間にけっこう挾まれてる」と語った吉川。「でも、新井くんはあの一重でいつも淡々と、ボーッとしてるんですよ。あのキャラおいしいよなあ」と、うらやましがっていた。

ドラマ放送に先駆けて、10月3日から朝日新聞で「下町ロケット2」の連載がスタート。新聞連載とドラマが同時進行するという異色の試みも行われる。これから全貌が明らかになっていく”佃製作所その後”も楽しみだ。
(島影真奈美)