福岡県朝倉市では、あるマンションの建設計画が白紙撤回された。「中国人向けマンション」などと呼ばれ、強い反対運動が発生していた。在日華字紙の中文導報はこのほど、関連する事態の推移を紹介する記事を発表した。
このマンション建設計画は、中国企業グループ傘下の開発業者によるもので、2024年5月の地元住民に向けた説明会で初めて公表された。
当初計画によると、開発業者は同市内のゴルフ場用地内に、14階建てのマンション2棟を建設することになっていた。約290戸の住宅が設けられ、最大で705人が入居すると想定されていた。波紋を呼んだのは、開発業者が予測した購入者の構成で、約40%が中国本土から、40%が香港または台湾からであり、残りの20%が日本または韓国の在住者だったことだ。
開発業者側はこのマンション建設計画についての中長期的な構想も明らかにした。最大でマンション6棟を建設し、居住人数は2000人に達する可能性があるとの説明だった。外国籍人を主体とする大規模コミュニティーの出現予想は地元住民に衝撃をもたらし、インターネットでも情報が急速に拡散されることになった。
このマンション計画について、特に25年以降はSNSで、「中国人向け巨大マンション建設」「移民政策反対」といった投稿が急増した。
朝倉市で外国人向けマンションに反対の声、共生って簡単じゃないよね。 pic.twitter.com/WWnpaYtxtb
— みお (@mio_japan_love) February 24, 2026
ネット上で醸成された反対の感情は、すぐに現実の行動に結び付いた。現地では同計画に反対する署名運動やデモが出現した。反対団体が発起したネット上の署名運動では、5万人分以上の署名が集まったとされる。また、「県がすでに開発を承認した」という事実と異なるうわさも流れ始め、人々の疑念と反対の声をさらに激化させた。
福岡県は25年9月に、開発業者は24年7月に申請を提出したが、県は必要な建築確認済証を交付しておらず、いわゆる「知事がすでに承認した」という説は全くのデマと説明した。県は、25年8月末から関連する電話やメールでの苦情を約100件受け取ったと明らかにした。
この論争は地方政治にも波乱をもたらした。26年4月19日投開票の朝倉市長選挙では、このマンション計画が論争の焦点になり、「マンション計画の可否を問う住民投票」とまで言われるようになった。選挙結果は、反対派の住民の支持を獲得した中島秀樹氏が現職の林裕二市長に勝利して当選した。中島氏は5期連続で朝倉市議会議員を務めていたが、市長選候補としては新人だった。林市長は3期目の当選を目指していた。
なお、林市長の任期は4月22日までで、その前日の4月21日に、市長本人名義で市の公式サイトを通じて「外資系企業によるマンション建設計画は白紙になった」と市民に向けて報告した。
市長選挙前の3月27日には、マンションの用地になるはずだったゴルフ場の運営会社が朝倉市に対して、土地所有者はすでに用地についてマンション建設に提供する意思はなく、「計画は絶対に推進できない」と報告していた。ゴルフ場の運営会社の代表は4月14日に開発業者の代表と面会し、計画の推進は非常に困難と明確に伝えた。双方は、マンションの建設を断念することで合意した。朝倉市は4月20日に、土地所有者と開発業者から、計画断念についての最終報告を受けた。
中国マンション問題から見えた朝倉#中島秀樹 #朝倉市 pic.twitter.com/z9U0LAkHC1
— 中島秀樹 (@nakashimahideki) March 7, 2026
なお、開発業者はそれより前に自社サイトを通じて、説明会で行った入居者の国籍については「富裕層が別荘や第2の住居を購入する需要」に基づく一種の仮定であり、購入者の国籍に制限を設けたわけではないと釈明していた。
外資を誘致し地方を開発することを目指した建設計画は、地元住民の猛反発により幕を下ろすことになった。朝倉市の事例は、外国資本と人口構造の劇的な変化の可能性に直面した際の日本の地方社会の複雑な心理状態を反映している。すなわち、地元住民はまずマンション建設による不動産価値の上昇を期待したが、次に文化面での衝突やコミュニティーの性格が変質することに深い憂慮を示した。
日本では少子高齢化が加速し、労働力の不足が深刻化しつつある。外部からの活力の導入は解決策の一つだが、地元コミュニティーの安定の維持とのバランスをいかに取るかは、ますます多くの地方都市が直面せざるを得ない課題だ。今回の「外国人マンション」騒動は、あるいは同様の事例の始まりに過ぎないのかもしれない。(翻訳・編集/如月隼人)











