2026年5月6日、ドイツ国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国の若者の間で広がる「寝そべり」族や高い失業率は、経済成長の鈍化と将来への希望の喪失が生んだ構造的な社会問題であると報じた。

記事は、Amazonのカスタマーサービス職を解雇された30歳の女性、温蒂(ウェン・ディ)さんが数カ月にわたり2000通近い履歴書を送ったものの、年齢や景気停滞を理由に過酷な就職難に直面している状況を紹介。

求職サイトの利用制限に達するほど活動しても面接の機会はわずかで、内定後に他者と比較され不採用になるなど、競争が極めて激化している実態を伝えた。

そして、中国国家統計局のデータでは若者の失業率が16.9%と依然として高水準にあること、さらには人工知能(AI)の台頭やコロナ禍からの不十分な経済回復が、若者の消費意欲や企業への信頼感を低下させていると指摘した。

その上で、過酷な残業文化「996」や不毛な過当競争を指す「内巻」に疲弊し、しかも海外に渡るという選択肢も得られない若者が、ワークライフバランスを求めて外資系企業を志向したり、最低限の生活で競争を拒否する「寝そべり」を選択するという心理状態を分析。過度な努力を放棄することが若者にとっての自己防衛手段になっていると伝えた。

記事は、専門家の分析として、かつての右肩上がりの経済成長モデルが限界を迎え、中国社会に努力が報われない「学習性無力感」が広がっていると指摘。学位が階層上昇の切符だった時代が終わり、将来の不確実性が増す中、若者がハングリー精神を失ったという分析を紹介している。

さらに、中国当局が寝そべり文化を「外部勢力による洗脳」と批判して奮闘を促しているのに対し、若者側は構造的な生活苦や不満が原因であると冷ややかに反発している対立構図にも言及。当局が消費喚起や経済成長の妨げとなる寝そべりを抑圧しようとする中で、若者の間ではかつてない連帯感が広がっていると伝えた。

記事は最後に、社会が明確な答えを示せない不確実な時代の中で、若者たちが自らの理想の生き方を模索し続けている姿を紹介。「就職活動とは単に自立する手段ではなく、自分が望む生活の在り方を見つけるプロセスであるべき」という新たな価値観が生まれつつあることに触れた。(編集・翻訳/川尻)

編集部おすすめ