2026年5月7日、香港メディアの香港01は、中国各地で乱立した人工的な「古城」が、内容の同質化による魅力不足から深刻な経営難に陥っていると報じた。

記事は、2025年7月に青海省の大型文化観光グループである青海省旅遊投資集団および傘下の13社が破産したほか、上場している文化観光企業の5割以上が減収となるなど、中国の観光業界が厳しい冬を迎えていると紹介。

かつて期待されていた観光業が今や極めて困難なビジネスになっていると伝えた。

そして、かつての花形プロジェクトだった湖南省張家界市の「大庸古城」が、25億元(約570億円)を投じながら4年で10億元(約230億円)を超える赤字を出していることに言及。模造品のような中途半端な造りで観光客から敬遠され、今や1日の観光客数が20人程度という「ゴーストタウン」になっており、親会社の張家界旅遊集団の経営を圧迫しているとした。

570億円投じた「古城」、中途半端な造りで観光客から敬遠=大赤字でゴーストタウン化―中国
大庸古城

また、中国全土に2800以上ある「古城」の約半数が、どこも似たような建築や商品ばかりで個性がなく、観光客に飽きられていると指摘。多くの古鎮(古い街並み)が設計段階から独自の計画や位置づけ意識を欠いていることが大きな原因であるとの見方を示している。

記事はさらに、独占的な自然資源に頼り、ロープウエーや入場料で稼ぐ従来の観光ビジネスモデルが通用しなくなり、景観の希少性よりも体験の質が問われるようになっているとも分析。「A級」の格付けを持つ景勝地が増えすぎたことも平均収入の激減につながっていると論じた。

記事は、現在コンサートやイベントなどの「公演経済」が莫大(ばくだい)な消費を生んでおり、昨年の中国国内における公演市場規模が837億元(約1兆9000億円)を超えたと紹介。観光業界における競争力の核が観光客のディープな体験や「情緒価値(感情的な価値)」へと移行しつつあることを伝えた。(編集・翻訳/川尻)

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