17日の金曜ロードショー(後9時)は、きょう公開の山﨑賢人主演の人気シリーズ最新作「キングダム 魂の決戦」に続く特別版「キングダム ―信と王騎と将軍と―」が、枠を30分拡大して放送される。

 第3作「―運命の炎」(2023年)、第4作「―大将軍の帰還」(24年)の2作品を中心にシリーズのメガホンを取った佐藤信介監督が再構築し、山﨑演じる信が、伝説の大将軍・王騎(大沢たかお)の背中を目指し、戦いを通じながら成長していく姿に焦点を当てた、金ローオリジナルの作品。

まさに、「一粒で二度おいしい」と言えるだろう。

 蛇甘(だかん)平原の戦いでの功績を認められて百人将となり、大将軍への道を着々と歩み始めた信。同じ頃、秦を治める若き王・エイ政(吉沢亮)は、隣国・趙の進軍を受けて、王騎を総大将に任命する。趙軍との決戦を前に、王騎から自らの部隊に「飛信隊」の名前を授けられた信は、奇襲で敵将を討つ。

 勝利に沸く信だったが、その前に謎の男が立ちはだかる。その男の圧倒的な武力に仲間たちを失い、自らも重傷を負う信。男の正体は趙の総大将・龐煖(ほうけん、吉川晃司)だった。王騎にとっても龐煖は因縁の相手。ついに2人は、混乱する戦場のど真ん中で一騎打ちに臨むが…。

 あらすじを見ても分かるように、「―運命の炎」と「―大将軍の帰還」は”連作”となっている。「―運命の炎」では、少年時代に捕らわれの身となっていたエイ政が、紫夏(杏)と逃避行を繰り広げる「紫夏編」のエピソードが描かれているものの、基本的には「馬陽の戦い」が物語の中心。公開当時、「―運命の炎」を見終わった時には「えっ、何もこんな尻切れトンボでいいの?」と感じたことを覚えている。

 もっとも、それを感じさせるのは大作であることの裏返しでもある。ストーリーが壮大なために「1本にまとめるには時間が足りなさすぎる」ということは、他の作品でもあること。国内ですぐに思いつくのは、「るろうに剣心」の「京都大火編」と「伝説の最期編」(ともに14年)だろうか。

 海外でも頭に思い浮かぶものはいくつかあるが、最近で印象に残っているのは「デューン 砂の惑星」(21、24年)、「ウィキッド」(24、25年、日本公開はそれぞれ翌年)。この2作品は終映後、「何も始まってないじゃないか!」とツッコミを入れた記憶がある。

 今回は2作計4時間半超の作品を、2時間ほどにまとめた形。一見するとかなり乱暴にも思えるが、そこは佐藤監督自身が監修しているということで心配はいらない。

 ところで、公開された「―魂の決戦」は、秦が趙の宰相・李牧(小栗旬)の策略により手を組んだ隣国による「合従軍」との戦いが描かれる。その舞台は「函谷関(かんこくかん)」となるが、この地名、子供の頃にどこかで聞いたことないだろうか?

 そう、滝廉太郎作曲の唱歌「箱根八里」の歌詞「箱根の山は天下の険 函谷関も物ならず」の「函谷関」のこと。同所は洛陽と長安をつなぐ交通の要所であると同時に、天然の要害でもある。でも、箱根はそれよりも険しいですよ―と歌われているのだ。これまでに描かれた蛇甘平原の戦い、馬陽の戦いと異なり、最新作は実在した戦いが描かれているというのも、注目点の一つと言えるだろう。

(髙柳 哲人)

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