AMDの2026年12月期1Qは、37.8%増収、83.1%営業増益。AIデータセンター向けCPUが好調で、推論関連の制御、計算処理に使うCPUが増加している。
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄: アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD、NASDAQ)
1.AMDの2026年12月期1Qは、37.8%増収、83.1%営業増益。
アドバンスト・マイクロ・デバイス(以下AMD)の2026年12月期1Q(2026年1-3月期、以下今1Q)は、売上高102.53億ドル(前年比37.8%増)、営業利益14.76億ドル(同83.1%増)となりました。データセンター向けCPUに牽引され好業績でした。
セグメント別に見ると、データセンターが売上高57.75億ドル(前年比57.2%増)、営業利益15.99億ドル(同71.6%増)となりました。ただし、前4Q比では増収減益となりました。最新機種である第5世代EPYC「Turin(チューリン)」(コードネーム)の売上高がデータセンターの50%以上となりました。第4世代EPYC「Genoa(ジェノア)」「Bergamo(ベルガモ)」も好調で、「Turin」「Genoa」「Bergamo」の販売数量が好調でした。
また、AI用GPU「Instinct」シリーズもAIデータセンター向けに好調でした(売上高の開示はなし)。
一方で、データセンターの営業利益率は27.7%増となり前1Q25.4%からは上昇しましたが、前4Q32.6%からは低下しました。研究開発費が増えただけでなく、データセンター用サーバー用CPUの販路拡大のために販管費が増えました。
クライアント&ゲーミング(パソコン向けCPU、パソコン向けGPU、家庭用ゲーム機向けチップセット)は、売上高36.05億ドル(同22.6%増)、営業利益5.75億ドル(同15.9%増)となりました。売上高はクライアント28.85億ドル(同25.8%増)、ゲーミング7.20億ドル(同15.9%増)となっており、パソコン用CPUの「Ryzen」シリーズが好調でした。ゲーミングはゲーム機向けは前年割れでしたが、パソコン用GPU「Radeon」が増収となりました。このセグメントの今1Q営業利益率は16.0%となり、前1Q16.9%、前4Q18.4%から低下しましたが、ゲーム機向けの減収の影響に加え、メモリ等の部品価格上昇の影響が少し出始めたと思われます。
エンベデッド(組み込み)は、売上高8.73億ドル(同6.1%増)、営業利益3.38億ドル(同3.0%増)となりました。テスト、計測、エミュレーション、航空宇宙、防衛、通信が順調に伸びました。また、FPGAだけでなく、x86製品の組み込み製品とセミカスタム製品の採用が拡大しました。営業利益率は38.7%と前1Q39.9%から低下しましたが、高水準でした。
今1Qの全社売上総利益率は52.8%となり、前1Q50.2%からは上昇しましたが、前4Q54.3%からは低下しました。季節性の影響と思われます。
表1 AMDの業績
表2 AMD:セグメント別業績(四半期)
2.AIデータセンターの中でCPUの役割が重要になっている。
1)今2Q以降もデータセンターが全社業績を牽引。
今2Qの会社側業績ガイダンスは、売上高112億ドル±3億ドル(レンジ平均値で前年比45.7%増)、非GAAPベース(米国会計基準の費用からストックオプション、買収関連償却等の買収関連費用を控除したもの)の売上総利益率は約56%、非GAAPベースの営業費用は約33億ドルとなります。ここから非GAAPベースの会社予想営業利益は29.7億ドルとなり、今1Qの非GAAP営業利益25.4億ドルから増加すると予想されます。
今2Q以降の牽引役は今1Qと同じでデータセンターになると思われます。データセンターの中でCPUの役割が大きくなっています。生成AIを動かす時に発生するトークンが急増しているため、推論を行うときに推論そのものではなく推論に関連した計算処理や制御についてCPUを使うほうが効率が良くなっているのです。会社側の説明を私が解釈すると、2025年10-12月期にこの傾向が表れ、2026年1-3月期から本格的な動きになってきた模様です。
さらに今年後半には、第6世代EPYC「Venice(ベニス)」が発売されます。また、AIデータセンターに特化したCPU「Verano」を2027年に発売する計画です。
AI用GPUも好調が予想されます。今年後半からはTSMCの最先端ライン、2ナノラインで生産する最新型の「MI450」シリーズと、「MI450」シリーズとCPU「Venice」その他の先端コンポーネントを統合した大型AIプラットフォーム「Helios(ヘリオス)」の量産出荷を開始する予定です。また、メタ・プラットフォームズ向けに「Helios」をベースにしてMI450ベースのカスタムGPUを搭載したAIプラットフォームを出荷する予定です。会社側ではMI450シリーズの出荷開始によって、2027年のAI用GPU売上高を数百億ドルにしたいとしています。
2)AIデータセンターの中でCPUの役割が増加している。
AIデータセンターの中で推論とAIエージェント(目標を達成するために自律的に計画を立て、ツールを使い、タスクを実行するAIシステム)が多くなるにつれて、CPUの役割が増加しています。これは、従来からのAI半導体全体の管理に加え、AIオーケストレーション(複数のAIエージェント、ツール、外部システムを連携・制御し、複雑な業務プロセスを自動化・最適化する仕組み)、データ移動、並列実行のために、追加のCPU処理を必要とするためです。
この結果、会社側によれば、過去にはCPUとGPU(AI用GPU)の比率が1対4や1対8だったものが(1がCPU)、今では1対1に近づいており、さらにAIエージェントの数が増えればCPUとGPUの数も増える可能性があります。
昨年11月に開催したフィナンシャル・アナリスト向け説明会で、会社側はサーバーCPU市場が今後3~5年間で年率約18%成長すると予想しました。
サーバー用CPUの内訳と成長率を見ると、従来のCPU(汎用CPU)のTAMは年率10%台前半の成長率と予想されます。次に、AI半導体に接続するAIヘッドノード(ヘッドノードは、複数のコンピュータを連携させるクラスターシステム(HPCなど)において、全体を管理・統括する中心的なCPU)があり、これも成長していますが、規模は小さいです。
成長の大部分を占めているのが、AIエージェントの部分です。この部分は今は汎用CPUが使われていますが(高価格の上級CPUが使われていると思われる)、AMDはAIデータセンター用に特化したCPU「Verano」を2027年に発売する計画です。
3)クライアント向けは高価格帯を狙う。ゲーミングは2027年に新型XBOX発売か。エンベデッドは受注が多い。
クライアント向けは需要が強い高単価のAI用パソコン向けに注力する方針です。ゲーミングは、今期後半からメモリ等の部品価格上昇とそれに伴うゲーム機の値上げによって売上高が減少する見通しです。ただし、2027年は新型XBOX発売が予定されているため、業績回復が期待されます。
エンベデッドは堅調な業績が予想されます。
3.2026年12月期、2027年12月期とも、AIデータセンター向けを主軸に業績好調が予想される。
このような状況を見て楽天証券では、AMDの2026年12月期を売上高469億ドル(前年比35.4%増)、営業利益77億ドル(同2.08倍)、2027年12月期を売上高641億ドル(同36.7%増)、営業利益140億ドル(同81.8%増)と予想します。
2026年後半の「MI450」シリーズと第6世代EPYC「Venice(ベニス)」の発売、2027年のAIデータセンター用CPU「Verano」発売による採算悪化をデータセンター向けCPUの販売増加でカバーし、2026年12月期、2027年12月期ともに好業績が予想されます。
表3 AMD:セグメント別業績(通期)
4.AMDの今後6~12カ月間の目標株価を610ドルとする。
AMDの今後6~12カ月間の目標株価を610ドルとします。
楽天証券の2027年12月期予想1株当たり利益(EPS)7.44ドルに、楽天証券の2027年12月期予想営業増益率81.8%よりPEG=1.0倍程度として想定株価収益率(PER)80~85倍を当てはめました。
中長期で投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄: アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD、NASDAQ)
(今中 能夫)

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