ヒロインの川田レン&ミスパンダを演じる清野菜名は、アクションが得意なことで知られる若手女優だ。
一方の森島直輝&飼育員さんを務める横浜流星は、極真空手で世界一になったことがあるというとんでもない経歴の持ち主。過去作品でも、「あ、本物の人だ」と見惚れてしまうほどキレのある動きを見せてくれている。この2人のアクションだけでも見る価値はありそうだ。

胸糞男を不思議なパンダがやっつける!
「バカ女共はよ、上級国民の俺様が抱いてやるってのに、必死で抵抗しやがるんだ。でもよ、俺様はその方が興奮するんだぴょん!!」
冒頭。悪者丸出しのセリフを吐いた衆議院議員の上坂(川崎麻世)を、ミスパンダは追い詰める。隠しカメラで撮影した様子を生配信して、社会的にも、肉体的にも成敗する。
「パンダは舐めない。でも噛みつくよ!」
上坂の「舐めてんのか?」というセリフに対しては、ちょっとシャレの効いた返しをして見せる。また、アクションも少し遊んでいる。
キレッキレの動きを見せたかと思えば、必要以上にバク転をして、視聴者(作中の)にアピール。技も回し蹴りなど派手めなものを連発するし、相手のズボンのベルトを抜いて辱めまで与えちゃったりする。
王道パターンに斬新設定
不思議でお茶目なミスパンダが、誰もが嫌悪感を持つ超悪者を必殺仕事人のようにやっつける。昔からある王道パターンではあるが、ひとつ斬新な設定も乗っかっている。
それは、ミスパンダの正体であるレンが、自分がミスパンダであることを知らないということだ。レンは、森島とパンケーキデートを楽しみにしており、その度に森島に催眠術のようなものをかけられてミスパンダへと変身するのだ。
ちなみにミスパンダでいるときのことをレンは、「森島さんと会うと舞い上がっちゃって、家に帰ってもよく覚えてない」として納得している。少し強引な立て付けだが、ミスパンダもレンも不思議ちゃんのため、なんとか飲み込める。
というか、ここら辺をつついちゃうと、この先もいちいちつつかなきゃいけなくなるので、スルーした方がいいと思う。
多すぎる謎は、とりあえず無視
普段のレンは、天才美少女囲碁棋士だ。しかし、10年前のある事件をきっかけに、極度のネガティブ思考になり、相手に勝ちを譲るようになってしまった。
レンの過去はおいおい明かされるのだろうが、ミスパンダ変身時の驚異的な身体能力についても、いずれ説明が入るのかは気になるところだ。
何も理由がないとしたら、「性格が変わって隠された身体能力が解放された」とか、「催眠時は脳のブレーキが効かない」とか、何でもいいから説明が欲しい気もする。じゃないと、ミスパンダが活躍するたびに「なんであんなトロそうなレンがこんなに強いの?」が付きまとっちゃう。
作中的にも、視聴者的にも、謎に包まれまくったミスパンダを操るのは、飼育員こと森島直輝だ。
そしてそんな森島に指示を出しているのが、Mr.ノーコンプライアンスを名乗る法務大臣の佐島源造(佐藤二朗)だ。この男もまた、なぜそんなことをしているのか、完全に謎に包まれている。
謎の大物が謎のイケメンに指示を出し、さらに謎のイケメンが謎の美少女を謎のヒロインに変身させて悪を成敗。目的も人物も全てが謎に包まれている。
このスカート、やめたほうが良いぞぉ?
ここまで謎に包まれていると、現時点では考察も何もない。なので今見るべきところは、出てくる極悪人を華麗に打ち負かすスカッと感だろう。この悪人が毎話どれだけフラストレーションを与えてくれるかが、面白さのカギを握りそうだ。
初回は川崎麻世の他にも、イケイケ若手セクハラ社長として和田正人が登場した。
「化粧濃いんじゃないか? 君が化粧する必要なんてないだろう?」
「このスカート、ヒップラインくっきり出るからやめたほうが良いぞぉ?」
「髪型変えたってなにも変わらないぞぉ? ん〜?」
現実世界ではみんな大好き吉木りさと結婚し、清潔感があって賢そうな好青年の和田が、こんなセリフを吐きながら女性社員のお尻を触っちゃうのだから嫌悪感がほとばしる。
そのうえ殺しまでしちゃった若手イケメン社長を、ミスパンダ&飼育員が遊び心たっぷりに懲らしめるからカタルシスが生まれるのだ。
まずはミスパンダと飼育員のアクションと遊び心のある演出を楽しみ、本筋の謎がジワジワと明かされていくのを味わえたら最高だ。
(さわだ)
■「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」
出演:清野菜名、横浜流星、要潤、白石聖、山崎樹範、山口紗弥加、佐藤二朗
脚本:佐藤友治、蛭田直美ほか
演出:遠藤光貴、松永洋一、汐口武史
制作著作:読売テレビ
主題歌:Billie Eilish「bad guy」
白でも黒でもない世界で、パンダは笑う。