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『ルパン三世 カリオストロの城』絶対ヒロイン、クラリス5つの秘密<ネタバレあり>


日本テレビ系列で毎週金曜日21時より放送中の「金曜ロードSHOW!」。今日11月20日のラインナップは『ルパン三世 カリオストロの城』。ライター大山くまお氏による、2016年10月に掲載したレビューを改めてお届けする(文中の日にちなどは当時掲載したママ)。

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今夜、金ローで『ルパン三世 カリオストロの城』

宮崎駿監督の初めての劇場映画『ルパン三世 カリオストロの城』が、今夜の『金曜ロードショー』で放送される。公開されたのは今から37年前の1979年、テレビ放送は今回で15回目を数える。長きにわたって多くの人に愛されている名画だ。

『カリオストロの城』の魅力はさまざまだが、なんといっても人気なのがヒロインのクラリス(演:島本須美)だ。そこでこの原稿ではクラリスに焦点を当てて、クラリスの基礎知識から、その後の『風の谷のナウシカ』(84年)に至る宮崎アニメのヒロインの系譜まで、複数の角度で語ってみたい。

クラリスのモデルとは?

クラリスという名前の元ネタは、モーリス・ルブランによる小説『アルセーヌ・ルパン』シリーズの『カリオストロ伯爵夫人』に登場するルパンの最初の妻、クラリス・デティーグ。18歳の清楚な美少女で、ルパンとの間に一子をもうけている。

また、宮崎監督は『カリオストロの城』を「ルパンや東映時代にやったことの大たなざらえ」と位置づけており、自らが手がけた『ルパン三世』1stシリーズのいくつかのエピソードも元ネタにしている。

11話「7番目の橋が落ちるとき」と21話「ジャジャ馬娘を助けだせ!」は、紳士ぶりを発揮したルパンがヒロインを悪党から助け出すエピソード。特に「7番目~」で悪党に囚われている少女リーサは、同じく囚われの身だったクラリスを思い起こさせる存在だ。儚げで無力な少女に見えるが、肝心なところで勇気をふるうところもよく似ている。

ところで、クラリスは当初、もっとアクティブな性格のヒロインになるはずだったという。活発なクラリスを引き立たせるために不二子を出さない予定もあったが、「興行的な要求」で不二子を出さざるを得なくなり、クラリスは不二子と被らないように大人しいキャラクターになった。

宮崎監督はこのことについて「作劇技術の問題」「女性が2人出てくる時は同じような性格にできないものですよ」と語っている(『LUPIN THE THIRD VOL.2』)。ひょっとしたらクラリスも「ジャジャ馬娘~」のリエのような活発なヒロインになっていたかもしれない。

なお、「7番目~」も「ジャジャ馬娘~」もラストでルパンは銭形に追われてヒロインのもとを去っている。これも『カリオストロの城』と共通しているパターンだ。

島本須美がクラリスを演じるまで

『カリオストロの城』をはじめ、『ルパン三世』2ndシリーズ最終回「さらば愛しきルパン」(80年)の小山田真希、『風の谷のナウシカ』(84年)のナウシカと、宮崎作品で重要なヒロインを演じてきた声優・島本須美。

当時、劇団青年座に所属していた島本は、世界名作劇場シリーズ『赤毛のアン』(79年)のオーディションで最終選考の2人まで残ったが落選してしまう(決まったのは山田栄子)。意気込んでオーディションを受けていた島本はショックを受けるが、この作品でレイアウトを担当していた宮崎駿の耳には、島本の声と演技が強烈に印象づけられていた。

その後、『カリオストロの城』のオーディションに参加した島本は、宮崎監督の強力な推薦もあってクラリス役に決定した。ただし、アフレコではかなり苦労したらしい。当時の島本の唯一の(そして最初の)レギュラーだった『ザ☆ウルトラマン』(79年)では大声を出す芝居が求められていたため、クラリスも思いっきり張り上げて演じてしまったという。

その後、声優業から離れて、全国で演劇の学校公演を続けていた島本のもとに、ファンから『風の谷のナウシカ』の単行本が送られてくる。そこには「ぜったいナウシカをやってください」という手紙が添えられていた。『ナウシカ』を読んで感銘を受けた島本はオーディションに臨み、見事にナウシカ役を獲得した(『ロマンアルバム 映画「風の谷のナウシカ」ガイドブック』)。

クラリス専属のアニメーターがいた?

宮崎駿の盟友であり、かつての上司だったアニメーターの大塚康生が作画監督を務めている。『カリオストロの城』全編にわたって展開する緻密な作画に、大塚の卓越した技術とセンスが果たした役割はとてつもなく大きい。

ところで、宮崎監督は美少女の作画が苦手な大塚にクラリスの作画を一切任せなかった。後にメインポスター(ルパンがクラリスを抱え、背後にマスクをつけたカリオストロ伯爵がいるデザイン)を大塚が描いたときも、宮崎監督のブーイングによってクラリスの顔はほとんど描かないことに決まったほどだ。

クラリスの作画を担当したのは、筆頭原画(原画で最初にクレジットされるスタッフ)の篠原征子。東映時代からの宮崎監督の同僚で、『赤毛のアン』にもメインスタッフの一人として参加していたが宮崎監督の要請でテレコムに移籍、『カリオストロの城』に参加した。

クラリスの関するシーンは、ほとんどが篠原によるもので、実質的な“クラリス作監”だった(叶精二『宮崎駿全書』)。篠原はその後も宮崎監督作品に参加し続けるが、『ハウルの動く城』(05年)を最後に現場を引退し、2015年に逝去した。

「ロリコン」という言葉はクラリスから広がった?

公開された『カリオストロの城』は期待された興行収入は得られなかったが、徐々にカルト的な人気を博すようになる。作品の良さもあったが、人気の中心になっていたのは清楚な美少女・クラリスだった。クラリスのファンクラブが発足、同人誌が発行され、アニメ雑誌はクラリスの特集記事を相次いで掲載した。

ルパンの「妬かない、妬かない、ロリコン伯爵!」という有名なセリフから、このような記事傾向は“ロリコン・ブーム”と呼ばれるようになったという(叶精二『宮崎駿全書』)。

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