どれくらい好きだったかというと、あまりの好きさに位を与えてしまうほど、好きの度合いが振り切っていました。
今回はそんな一条天皇の猫愛が溢れるエピソードをご紹介します。
一条天皇/Wikipediaより
■猫が子を産んだ時は盛大なお祝い事を…
一条天皇は自身の飼っていた猫が子を産むと、産養い(うぶやしない)を行っていました。産養いとは子どもが生まれた初夜から9日目までの奇数の日数に行う祝い事のことです。
一条天皇はこの祝い事に当時の左大臣と右大臣を呼び、盛大に子猫の誕生を祝いました。
本来は人間の子どもが生まれた時に行う産養いを子猫のために行ったので、この有り様を藤原実資(ふじわらの-さねすけ)は「全く理解できない」と自身の日記『小右記』に記しています。
藤原実資/Wikipediaより
■愛猫の名前は命婦のおとど
そんな世間のことなどお構いないしに一条天皇は子猫を可愛がりました。しかし、天皇のいる内裏には相応の身分の者しか入れないので、一条天皇は子猫に「命婦(みょうぶ)のおとど」と名付けます。
命婦とは従五位下の位を持つ女性のことであり、命婦のおとどというメス猫は一躍貴族の仲間入りを果たすと共に、昇殿を許されたので殿上人にもなりました。
また、一条天皇は命婦のおとどに馬の命婦という名の乳母をつけ、大切に育てました。
しかし、ある時に命婦のおとどのことで一条天皇は馬の命婦に対してお怒りになります。
■愛猫を守るため、犬を追放した一条天皇
それはある日のこと、命婦のおとどが縁先で日差しに当たりながら居眠りをしていると、馬の命婦は行儀が悪いと注意をしました。
しかし、命婦のおとどは言うことを聞かなかったので、馬の命婦は一条天皇の皇后である藤原定子が飼っていた犬、翁丸(おきなまる)に「命婦のおとどを脅かしておやり」と指示を出します。
藤原定子/Wikipediaより
翁丸は指示通り脅かし、驚いた命婦のおとどは御簾の中へ逃げてしまいました。
その様子を見ていた一条天皇は大激怒し、翁丸を宮中から追放すると共に馬の命婦も命婦のおとどの乳母から外しました。
どうやら一条天皇は命婦のおとどのことになると、我を忘れてしまうくらい可愛がっていたことがわかりますね。
■最後に
現代でも多くの方から可愛がられる猫ですが、平安時代でも可愛がられたことを知ると日本人は元来可愛いものには目がないということがわかります。
また天皇から位を与えられ、乳母を付けるなどしてまで愛されていた命婦のおとどは、猫冥利に尽きていたのではないかと思ってしまいます。
参考
- 池上正太『猫の神話』
- 北見明子『猫とニッポン人と8つの物語 猫の手も借りました』
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan
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