ビザ申請の窓口業務を担うグローバル企業「VFSグローバル」のデータによると、2026年第1四半期の中国におけるビザ申請件数は前年同期比20%増となり、近年の海外旅行のピークであった2019年の水準に達しました。特に注目すべきは「シルバー市場」の台頭です。
中国の一般的な定年退職年齢は男性が60歳、女性が55歳です。この層は若い頃に中国の高度経済成長を経験しており、最も経済力のあるシニア世代といえます。さらに健康状態も良好であることが、海外旅行の需要を押し上げています。長期滞在型で文化を深く味わう旅行や快適なクルーズ旅行を好む傾向があり、ラグジュアリー旅行市場の主力でもあります。加えて、急速に進化するAI翻訳アプリが、中国のシルバー層にとって海外渡航のハードルをさらに下げています。
「2025年シニア層旅行消費トレンド報告」によれば、中国の55歳から70歳層の国際線航空券の予約数は前年比19%増加し、海外の目的地は110カ所増の1452カ所に拡大しました。旅行予約サイト「去哪児(Qunar)」によると、人気の目的地はタイ、マレーシア、香港、日本、韓国、米国、シンガポールなどです。この層は若者よりも時間的な余裕があるため、南アフリカ、アイスランド、エジプト、アルゼンチンといったニッチな地域にも足を伸ばします。昨年は、55歳から70歳層の中国人のうち、7600人以上がウズベキスタンへ、2000人以上がペルーへ渡航しました。
豪華クルーズ商品の利用者のうち、この層が7割を占めており、客単価10万元(約233万円)以上の極地クルーズでは9割を超えています。オーダーメイド旅行などのハイエンドなプランにおける1回あたりの平均消費額は1万2000元(約28万円)以上で、他の年齢層より平均25%高く、1人あたりの宿泊費も若年層より30%以上高くなっています。
中国では、ビザ申請者全体のうちシルバー層がすでに3分の1を占めているものの、この層の需要を十分に受け止められる商品はまだ不足しているとみられます。こうした需給のミスマッチは、今後数年間における中国の海外旅行市場において巨大なビジネスチャンスになると指摘されてきています。今後はより多くの旅行サービスが、シルバー層に向けて質の高い海外旅行ソリューションの提供に注力していくとみられます。(提供/CGTN Japanese)











