中国メディアの澎湃新聞は12日、タンザニアで行われたボクシング大会に出場した中国人選手らが、試合前に薬を盛られていた疑いがあると報じた。

記事によると、中国人ボクサーの哈斯(ハー・スー)はこのほど、タンザニアで開催された大会「KnocKOut ya Mama 8」に出場したが、判定負けを喫した。同大会では地元選手と海外選手による複数の試合が組まれていたが、哈斯以外の海外選手は全員KO負けだった。試合中、海外選手らは一様に動きが鈍く、「手足に力が入らないような状態だった」との証言もあり、哈斯を含む海外選手全員が試合前に薬を盛られた可能性が浮上している。

哈斯のコーチを務める任洪宝(レン・ホンボー)氏によると、試合のおよそ2時間半前、主催者側は海外選手全員に食事を提供した。それまでは大した食事が出されていなかったが、この時は牛肉が用意されていたため、選手らは多めに食べようとしていたという。ところが、任氏は一口食べた瞬間に違和感を覚えたといい、「肉に少し苦味があった。哈斯は『現地のスパイスではないか』と言っていたが、私はあまり食べなかった」と振り返った。

その約1時間後、一行がそろって試合会場に到着した頃には、程度の差こそあれ、海外選手全員に異変が現れ始めていた。任氏自身も強い眠気に襲われたといい、「哈斯のバンテージを巻いている時、目の焦点が合わなくなっていた。立ち上がって歩くのもふらつく状態だった。眠気覚ましのサプリを飲んだが、それでも駄目だった」と証言した。哈斯は試合前のウォーミングアップでアドレナリンが出ていたためか、当初は症状が比較的軽かったものの、リングに上がる頃には本来の状態ではなかった。試合後、哈斯は「試合前から体調がおかしかった。でも言ったら怒られると思って言えなかった」と打ち明けたという。

任氏によると、異変は他の海外選手にも起きており、パキスタン人選手は意識を保つため氷水を何度も頭からかぶっていた。また、選手の異常な状態を見たコーチが「試合には出せない」と主催者側に訴えたものの認められず、口論になる場面もあった。試合後には海外選手の多くが病院に搬送された。大会はタンザニアの「マフィア・ボクシング・プロモーション」が主催しており、アフリカ地域で一定の知名度を持つ。東アフリカで高い視聴率を誇るテレビ局による生中継も行われていたという。

任氏は、「振り返ると今回の遠征は最初から最後までどこかおかしかった」と語った。飛行機で到着後、長時間の移動で疲労していたにもかかわらず、ホテルではなくまず試合会場へ連れて行かれたが、特に説明などはなかった。その後、試合は市内開催にもかかわらず、選手やコーチを乗せた車は舗装もされていない山道を長時間走行。ようやく到着した宿泊施設は、高い塀と電気フェンスに囲まれた異様な場所だったという。

任氏がスポーツドリンクや食料を買いに行こうとすると「外出は禁止」と止められ、調整のため外でランニングしようとした哈斯も同様に制止されるなど、ほぼ軟禁状態だった。午前1時ごろには突然激しくドアをたたく音でたたき起こされ、武装した警察官による荷物検査を受けた。任氏は「麻薬検査だったようだが、こちらは招待されて試合に来ている。本当に不可解だった」と語った。(翻訳・編集/北田)

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