中国人が食べるタラバガニ5杯のうち、4杯は海に面していない東北地方の小都市・吉林省琿春市から輸送されたものだ。

早朝、ベーリング海峡で漁船が網を引き上げると、その十数時間後には深い海の底を歩き回っていたタラバガニはすでに国境線を越え、中国の琿春市の畜養池でブクブクと泡を吹いている。

そして翌日には、北京市や上海市、さらにはもっと遠くの都市で食卓に上る。

こうしたスピーディーな運営で鮮度を保ったままカニを輸送する「フレッシュ輸送ルート」の中枢を担うのは、港湾の都市ではなく、ロシアとの国境エリアにある常住人口20万人ほどの内陸の小都市、琿春市だ。

琿春市がタラバガニの流通で重要な役割を果たすようになったのはなぜか。その答えは近さとスピードだ。

ロシア・ザルビノ港から琿春まではわずか70キロメートルほどしかない。コールドチェーン輸送車がザルビノ港を出発してから1時間ほどで、タラバガニを琿春まで運ぶことができる。

さらに重要なのは通関のスピードだ。琿春通関地でのタラバガニの通関には特例措置が適用され、24時間いつでも到着次第すぐに検査を受けて通関手続きを終えることができる。事前に申告を行った車両なら、ものの数分で通関手続きが終わり、検査の全プロセスにかかる時間を1時間半前後に短縮できる。

こういったことは一般の貨物なら効率の問題に過ぎないが、タラバガニにとってはまさに「生命線」だ。高価なシーフードであるタラバガニにとってスピードは非常に重要で、輸送時間は短いほどよい。特例措置適用前は輸送における損失率が15%に達することもあったが、今では生存率が98%に迫る。

2024年には、琿春市ではタラバガニの輸入量が約150万匹、価格にして33億1000万元(約761億3000万円)に上り、全国の輸入総量の8割以上を占めた。

琿春市にとって、タラバガニは初めは単に同地を通過していく貨物に過ぎなかった。しかし、琿春の人々は「このビジネスはもっと深めることができる」とすぐに気づいた。

タラバガニで国境近くの小都市・吉林省琿春が活性化したワケは?―中国

そうしてチェーンは少しずつ長くなり、今では川上はロシアでの漁獲、国境を越えた輸送、川中は通関地での通関、畜養と卸売、コールドチェーンによる輸送、川下は加工、EC、飲食、ライブコマースという長いチェーンが形成されている。

もともとは貿易の中継点に過ぎなかった琿春市は、徐々に産業の中継点に変わっていった。

タラバガニが産業チェーンを形成し、その産業チェーンが小都市を活性化している。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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