日本の識者は、トランプ大統領の訪中と中米首脳会談の成果と今後の動向に注視しています。中でも「建設的な戦略的安定関係」の構築が打ち出されたことは、激化する恐れのあった対立に歯止めをかける重要な一歩として、高く評価されています。

また、中国の産業競争力の高度化に伴う米国企業の関心の変化も踏まえ、「日米中の企業による互恵協力の構築」への期待感も高まっています。

中国経済や日中米関係に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹は5月16日、CGTNの取材に対して、「中米関係の安定は、世界平和にとって最も大きな影響を及ぼす大前提だ」と強調し、「中国から『建設的な戦略的安定関係』の構築を重視するメッセージを出したことは大変重要だ」と、その意義を評価しました。

瀬口主幹は、今回の会談が今年4回実現される可能性のある中米首脳会談の1回目であることを踏まえ、「米国側の今後の公式な反応について、もう少し様子を見る必要がある」と慎重な姿勢を崩さなかったものの、「建設的な戦略的安定関係」の構築には「激化する恐れがある対立に対し、両国で抑えようという中国側の強いメッセージが込められている」ことに注目しています。瀬口主幹はその上で、「中国が建設的な戦略的安定関係を米国との間できっちり構築すれば、有事のリスクはなくなると言って良いと思う」と、その効果を積極的に評価しました。

トランプ大統領の9年前の訪中では、同行した米国企業の関係者は、製造業やエネルギーが中心でしたが、今回の訪中ではITや半導体、金融といった「未来産業」が目立ちました。これについて瀬口主幹は、「中国の産業競争力の高度化と米国自身の産業構造と企業競争力の変化が相まって、中国の成長分野への関心が高まったことが背景にある」と分析しました。

中米関係の安定は「世界平和の大前提」 中米日の互恵協力にも期待=識者
瀬口清之研究主幹

日本では中国経済について、「GDP成長率の緩やかな低下」に注目が集まっています。しかし、四半期ごとに中国を訪れてリサーチを続ける瀬口主幹は、「規模の拡大から技術力の向上へ移行している」との実感を語りました。さらに、ハイテクを基軸とする新興産業は「日米中が互恵的に協力できる分野」として、長期にわたりに世界をリードする可能性を有していると強調しました。

瀬口主幹はこれまで米国が主導してきた対中「デカップリング」などの経済安保政策について、「各国の経済発展を妨げるマイナス要因だ。早期に見直し、貿易・技術面の規制を緩和し、互恵協調の土台を築くことが望まれる」と批判し、さらに自由貿易体制の維持に向けて、「日本と中国は、ヨーロッパ諸国やグローバルサウスの国々と緊密に協調し、グローバルな貿易体制の充実を図っていく。この努力を通じて、世界経済の発展に貢献していくことが、今後の日中関係に求められる責務」と指摘し、そのことに向けての第一歩として、「日中関係を正常化して、安定して良好なコミュニケーションがスムーズにできる関係に戻すことが非常に重要だ」と強く訴えました。

(提供/CGTN Japanese)

編集部おすすめ