中国メディアの澎湃新聞は13日、「人工知能(AI)繁栄下の分配論争が韓国で起きている」として、「国民配当」構想の浮上やサムスン電子の労使対立について報じた。

記事はまず、サムスン電子とSKハイニックスを中心とする半導体大型株がこのところ上昇を続け、韓国総合株価指数(KOSPI)の過去最高値の更新を後押ししたと言及。

さらに「AI需要の爆発による半導体ブームでサムスン電子の第1四半期の営業利益は前年同期比756%増、SKハイニックスも同405%増加した」と伝え、こうした状況を背景に韓国大統領府政策室長の金容範(キム・ヨンボム)氏が「国民配当」構想を公に提起したと紹介した。

金氏が11日に示した同構想は、AI産業の拡張による「超過利益」を社会に還元させるというものだ。ただ、その具体的な実施方法についての明確な説明は行われていない。

一方、「国民配当」をめぐって保守系野党・改革新党の李俊錫(イ・ジュンソク)代表は12日、「両社の繁栄は李在明(イ・ジェミョン)政権と何の関係もない」と指摘。「両社の繁栄は従業員らの汗の結晶、そしてサムスン電子株が下落する中でも投資を続けた株主らの辛抱の結果だ」とし、「韓国政府はサムスン電子とSKハイニックスにどうやってさらに荷物を背負わせるかばかりを考えている」とも論じた。

このほか、企業の間からは「政府が『超過利益回収』ロジックを強化すれば、企業のイノベーション意欲をそぐ可能性がある」との懸念も出ているという。

記事はまた、AI繁栄下の分配論争として営業利益の大幅増を実現したサムスン電子の労使対立を取り上げ、ストライキ寸前の状況だと伝えた。

記事によると、労働組合側は成果給制度の見直しを求め、今年予想される営業利益300兆ウォン(約32兆円)を基準に、その15%を成果給の原資に振り向けることなどを要求している。

これに対し、会社側は「半導体産業に明確な周期性があることを考慮すると特定時期の利益を用いて長期的なインセンティブ制度を固定するのは難しい」として折衷案を提示した。

記事は「労使双方の隔たりは大きい」とした上で、「今年3月、サムスン電子の労組で投票が行われ、組合員の93.1%がストライキに賛成した」「大きな変化がなければ、5月21日から6月7日にかけて全面ストライキが行われる予定だ」と説明。また、米JPモルガン・チェースの分析として、「ストライキが予定通り実施された場合、数十兆ウォン(10兆ウォンは約1兆600億円)規模の経済損失が生じる見通し」と伝えた。(翻訳・編集/野谷)

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