英調査会社クラークソン(Clarksons)が8日に発表したデータによると、4月の世界の新造船受注量は204隻・649万CGTで、前年同月比21%増、前月比29%増となった。
このうち、中国の造船企業は156隻・437万CGTを受注し、世界シェア67%で首位を維持した。
もっとも、中国メディアは「中国造船業はすでに規模では世界トップとなったが、高度な造船産業チェーンを完全に掌握したとはまだ言えない」と指摘する。現在もなお、二つの大きな課題を抱えているという。
一つ目は、高性能舶用エンジンだ。
中国は現在も韓国から大量の舶用エンジンを輸入している。韓国貿易協会(KITA)が公表した統計によると、2025年に韓国が中国へ輸出した舶用エンジンおよび関連部品は12億8600万ドルに達し、日本円では約2000億円規模となった。
今年第1四半期には、韓国のHD現代重工業(HD Hyundai Heavy Industries)とハンファオーシャン(Hanwha Ocean)の受注量が、すでに前年通年実績の約半分に達しており、その多くが中国の顧客からの注文だった。
韓国の業界では、「中国はばら積み船やコンテナ船の建造量では世界首位だが、船舶の心臓部であるエンジンでは依然として韓国製品への依存度が高い」との見方が出ている。
特に近年は、世界的な脱炭素化の流れを背景に、液化天然ガス(LNG)などを使用できるデュアルフューエル型船舶の需要が急拡大している。こうした高性能デュアルフューエルエンジン分野は、韓国企業が強みを持つ領域だ。
HD現代重工業やハンファオーシャンの高性能エンジンは世界市場で高い信頼を得ている一方、中国は高性能LNG運搬船向け主機の分野で、依然として韓国との差があるとされる。
もう一つの弱点が、大型クルーズ船だ。
大型クルーズ船は、空母、LNG運搬船と並び、「世界で最も建造が難しい船舶」とされる。単なる船ではなく、「海上を航行する超高級ホテル」とも呼ばれ、その内部には高度な動力システムだけでなく、高級ホテル仕様の内装、娯楽施設、芸術デザイン、スマート管理システムなどが組み込まれている。
現在、世界の大型クルーズ船市場は約1000億ドル規模に達しており、日本円では約15兆円規模とされる。その市場は欧州勢がほぼ独占している。
特にイタリアのフィンカンティエリとフランスのアトランティック造船所の2社で世界の大型クルーズ船受注の90%以上を占めるという。さらにドイツやフィンランドも高級市場の一角を担っている。
韓国も1990年代に大型クルーズ船市場への参入を試みたが、最終的には失敗した。背景には、高級デザイン能力や豪華内装サプライチェーンの不足があったとされる。中国メディアは、「これは欧州が100年以上かけて築いた産業基盤であり、極めて高い参入障壁になっている」と分析している。
もっとも、中国も大型クルーズ船建造では前進を見せている。
ただし、これらの大型クルーズ船の中核設計は依然としてイタリアのフィンカンティエリによるもので、中国は主に海外設計図を基に建造を行っている段階だという。
3月には中国船舶集団(CSSC)と中国旅遊集団(CTG)が国産大型クルーズ船プロジェクトに関する協力覚書を締結した。今後、自主設計による大型クルーズ船3隻を建造し、2030年までに中国初の完全自主設計クルーズ船を引き渡す計画だ。
現在、「アドラ・フローラシティ」の国産化率は約35%とされ、次世代自主開発船では50%超、将来的には80%以上を目指しているという。
すでに「規模世界一」を実現した中国造船業は今、「技術世界一」を目指しているようだ。(記事/RR)











