◆JERAセ・リーグ ヤクルト0―2阪神(29日・神宮)

 阪神・高橋遥人投手(30)が無四球完封で3勝目を挙げた。ヤクルト打線を散発3安打に抑え、二塁すら踏ませない快投。

4月までの3完封は、球団では若林忠志(1943年)以来83年ぶりの快挙だ。開幕から計33回で1失点と圧巻のパフォーマンスを見せている左腕。藤川球児監督(45)の選手起用も的中した。プロ初スタメンに抜てきしたドラフト3位・岡城快生外野手(22)が初安打となる決勝二塁打。負傷者が続出する苦境で、投打の救世主が首位返り咲きへ導いた。

 ポーカーフェースを崩し、高橋はマウンドで雄たけびを上げた。2―0の9回1死一塁だ。増田をスライダーで三ゴロ併殺。女房役の伏見のもとに駆け寄り、喜びを分かち合った。3安打無四球で、今季3度目のシャットアウト勝利。4月までの3完封は球団では83年ぶりで、左腕として初の快挙だ。「出来すぎっす、本当にたまたまです…」と謙遜したが、神宮の「遥人コール」は止まなかった。

 3回までパーフェクト投球。最速149キロ直球とツーシームを武器に、二塁すら踏ませなかった。防御率は驚異の0・27で再び、リーグトップに浮上。藤川監督は「ずっと地道な努力を積み重ねている。苦労が本当の芯の強さを生んでいきますから」と目を細めた。

 左肘のクリーニング手術やトミー・ジョン手術など、21年から4年間で5度、メスを入れた。復活できた理由は、ブレない投球フォーム。中高一貫の常葉学園橘時代にたたき込まれ「当時からほとんど変わらない。絶対に変えてはいけない基礎がある」と胸を張った。プロ入り後は好調時の理由を言語化できるまで、投球の映像をチェック。自身と向き合い、磨いた制球力が開花につながった。

 チームの苦境も救った。

26日の広島戦(甲子園)で近本が死球を受け、左手首を骨折。不動の1番打者の離脱に加え、28日のヤクルト戦(神宮)では中野と森下がそれぞれ右ふくらはぎ付近、左つま先への自打球によって途中交代。主力にアクシデントが相次いだ。この日、中野は大事を取ってベンチスタート。森下は強行出場していた。

 ヤクルトとの直接対決を制し、首位返り咲き。ヒーローインタビューでは「(登板間隔が)16日空いている間に、みんながすごく頑張っている姿を見ていたので。力になりたいと思っていました」と安どの笑みを浮かべた。故障続きで「ガラスのエース」とまで形容された男。ついに覚醒の時を迎えた。(藤田 芽生)

 〇…阪神・高橋は3月28日対巨人戦、4月12日対中日戦に次いで3度目の完封勝利。4月までに3完封以上をマークしたのは、1984年3完封の今井雄太郎(阪急)以来42年ぶり15人目17度目。

セでは50、52年別所毅彦(巨)、52、58年金田正一(国鉄)、66年池田英俊(広)に次いで60年ぶり4人目6度目(1リーグ7人、パ4人)。阪神では1943年3完封の若林忠志以来2人目になる。また、左腕では2度記録した金田に次いで2人目だ。

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