◆JERAセ・リーグ DeNA3―1中日(12日・横浜)

 様々な感情をポーカーフェースで覆い、エースが力投した。DeNA・東克樹(30)は力強く左腕を振り、強竜打線に向かっていった。

6つのゼロを並べ、堂々のゲームメイク。6回を2安打無失点、5三振を奪い、4勝目。本拠地ハマスタでの中日戦は、これで13試合黒星なしの12勝目となった。

 試合前のナインに衝撃の一報が届いた。正捕手の山本祐大がソフトバンクに電撃トレード-。試合前のミーティング会場。山本は愛するナインにあいさつした。「きょうはエースなので、絶対に勝たないといけないです」。誰もが惜別の思いもエネルギーにして、勝利をつかむと誓った。

 東は言った。

 「正直驚いたのはあるんですが、この世界ではありうること。僕たちはベイスターズとして、いるメンバーで戦うだけ。

しっかりと試合に入れたかなと思います」

 東と山本は2023年に最優秀バッテリー賞を受賞した間柄。お立ち台で語った「祐大のおかげ」はファンに愛されるフレーズになり、グッズ化もされた。東は短い言葉で山本への感謝を伝えた。「頑張っていけよ」-。マウンド上での81球は、博多へ旅立つ女房役に最高のエールとなった。

 「僕自身、祐大のおかげで成長できた。一言では言い表せないようなバッテリーだった。お互いが1軍の舞台に立てるきっかけを作り合った。寂しいですが、お互い違う地で、築き上げたらいいなと思います」

 新たに正捕手を務めた21歳の松尾汐恩は2回に先制の右前打を放つなど3打数2安打1打点と躍動。4投手をリードし、白星に導いた。「何とか東さんに1点をあげたい気持ちでした」と松尾。東は力を込めた。

「汐恩が独り立ちして、このチームを引っ張っていかないと。彼にとってはいいチャンス。彼がキーマンになると思う」

 そして、こう続けた。

 「次は僕が汐恩を育てる番。日本を代表する捕手になってもらいたい。チームにとって、大きな1勝だったと思います」

 再び貯金1。全てを力に変え、相川ベイがセ界のど真ん中を突き進む。(加藤 弘士)

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