◆JERAセ・リーグ ヤクルト0―2巨人(19日・いわき)

 巨人・戸郷が昨年9月17日以来244日ぶりの先発勝利となる、今季1勝目をつかんだ。苦しみながらも復活に燃える戸郷のここまでの歩みを、担当の水上智恵記者が「見た」。

 順調に進んでいた戸郷の野球人生。エースの称号を手にしながら、昨年から何度も2軍での調整を強いられた。不安があっても、自信が揺らいでも、表情に陰りが出ることはなかった。「一番は自分に期待することだと思う。自分に期待して鍛えて、強くするのは自分次第だと思うんです」。2軍では登板後に課題を洗い出し、それを消化してまた試すことの繰り返しだった。

 本当に不調時は真っすぐは140キロ前半止まり。出力を上げるため、コーチ陣や他の選手から話を聞き、できることは何でも試した。「今のこの苦しみっていうのは、いい意味で野球してるなあ、って思うんだよね。僕が今、すごい野球に熱量を注ぐことができているのもこれだけ苦しんでいるから」。前向きな姿は必ず結果に結びつくと、取材する私も信じていた。

 復調の兆しが見えたのは4月12日のファーム・リーグ・DeNA戦(平塚)。

胸の前で構えたグラブを横に引いてから、ゆったりと左足を上げる。腕から始動する新フォームに変更した。力を無駄なくボールに伝えて、ボールに威力を出すために「早めに横で形を作って並進で(打者方向に)入っていけるように」。23年に菅野(現ロッキーズ)も師事し、“魔改造”と称される久保巡回投手コーチと話し合って、大きな変更を決断。7回4安打1失点の好投を見せた。

 ブルペンで2人で話し込み、試行錯誤を繰り返す。久保コーチは最後まで付き合ってくれた。「あそこまで言ってくれる方って多くはないんですよ。ああやって強い信念を持って教えてくださるのは、本当にすごいこと」。コーチの熱い思いも原動力となっていた。

 「人間は、いいときにどれだけまた自分を苦しめることができるかだと思うんだよね。まだまだこれから先もたくさん壁はあると思う。

まだまだやらなきゃいけないことがたくさんあると思うから」。自分に厳しく、諦めなかった戸郷の思いが白星へと結びついた。

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