◆日本生命セ・パ交流戦 2026 巨人3―2オリックス(2日・東京ドーム)

 巨人・則本昂大投手(35)が、7度目の先発で待ちに待った移籍後初勝利をつかんだ。楽天時代から得意としてきたオリックスを相手に、6回途中5安打2失点の粘投。

これまでは則本を援護できずにいた打線も、2回にトレイ・キャベッジ外野手(29)が来日2年連続2ケタとなる逆転10号2ラン。5回には松本が適時二塁打で、貴重な追加点をプレゼントした。チームは24年からのオリックス戦連敗を6で止め、貯金を3とした。

 この光景を待っていた。苦しんだ分だけ、則本の瞳は潤んだ。5回2/3を2失点で初白星。オレンジに染まる東京Dでヒーローに選ばれた。「やばいっすね! 最高でぇぇぇす!」。4月2日の初登板から2か月。7度目の挑戦でやっと、勝利の女神がほほ笑んだ。「最高です」の絶叫は、必ずすると決めていた。

 直球は今季最速タイ150キロ。

先発に再転向してから復活させたスライダーも軸になった。初回は2者連続3ボールスタート。「ストライク入らん。ほんまにどうしよう」。そこから立て直しての97球だった。5回の第2打席では11年ぶり2度目の犠打も決めて、松本の適時二塁打をお膳立て。「苦しかった。特別な、感謝の1勝」。橋上監督代行も「彼本来の気迫を非常に感じた。攻守に大活躍でした」と働きをたたえた。

 それまでの6登板で打線の援護は計3点。降板直後に中継ぎが打たれた試合も一度じゃない。

そういう時こそ経験が生きた。「先発の1試合に懸ける思い。先発の勝ちを絶対消しちゃいけないと思うリリーフの気持ち。両方分かるから。(中継ぎが)1試合打たれてもアイツらが積み上げてきたものがなくなるわけじゃない」。元セーブ王の言葉に後輩は救われてきた。

 14年目での海外FA行使。移籍先未定の1月中旬まではメジャー球で自主トレをしていた。車の運転中や練習の合間、数時間置きに「こっちに行くべきか…」と揺れ動いた。最後腹をくくれた背景には元巨人・菅野智之の存在があった。1学年差だがプロ入り同期。1年目のオフ、優勝旅行先ハワイでの対談から仲が深まり、今オフも食事の席や電話で何度も相談に乗ってもらった。

兄貴分でありライバルの関係性。「菅野さんがずっとエースとして引っ張ってきたチーム。そこで投げられるって、いいな」

 巨人入りを報告すると、言われた。「(いつか)また一緒にできたらいいね」―。「菅野さんが帰ってくる時までバリバリやっときます」。そう約束してユニホームに袖を通した。海の向こうで菅野は日米150勝を達成。「本当に侍の魂を感じる」。35歳で衰えるわけにはいかなかった。

 今季新調したグラブには初心の意を込めた。色は新人時代の黒に戻し、ウェブには家族の名前のイニシャルを刻んだ。「早く勝って『則本に初勝利を』というチームメートの重圧を解き放ちたかった。

優勝のためにガンガン勝っていきたい」。開幕からチーム53試合目でつかんだ通算121勝目。ようやく笑えた。(堀内 啓太)

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