日中間の政治状況は高市首相の「台湾有事発言」を機に厳しい状況が続くが、経済関係は活況を呈している。世界最大の消費市場・中国の需要拡大を見込み、新規進出や事業拡大を図る日本企業が相次いでいる。
日本国際貿易促進協会(国貿促)の会長代行を務める自民党の橋本岳衆院議員は6月下旬、中国外交部を訪問し、華春瑩外務次官と会談した。華氏は高市首相の2025年11月の台湾有事を巡る国会答弁に関して中国側の立場を表明。「日本の経済界が中日関係改善に積極的に役割を果たすことを期待する」と述べた。
国貿促が日本企業を伴って訪中することについて「華氏から歓迎するという話があった」とし、「交流の糸口をつかめたことが大きな成果」と強調した。
国貿促は訪中団を派遣し、河野洋平会長と中国の要人との会談を調整していたが、河野氏が急逝したため訪中団の派遣を延期した。
日本企業には両国の関係改善を望む声が広がる。国貿促は改めて代表団を設けて正式に訪中する意向で、華氏から歓迎の意向が示されたという。
中国サプライチェーン博、日本企業も積極PR、商機求め視察活発
中国政府系団体が主催する第4回中国国際サプライチェーン促進博覧会が6月に北京で開催された。日中関係に改善の兆しが見えない中、日本企業も出展してサービスや商品を積極的にPRしたほか、日本の財界幹部や企業経営者ら多数が参加した。
共産党序列6位の丁薛祥筆頭副首相が開幕式で演説し、世界的なサプライチェーンの安定に向けて、国際協力の重要性を訴えた。
今回の博覧会には85カ国・地域から1200超の企業・団体が出展した。外資系企業の比率は36.5%で国別では米国が最多。半導体大手エヌビディアは今回初めて設けられた人工知能(AI)コーナーに巨大ブースを出展した。
日本からはパナソニックや住友電気工業、AGCのほか、ダイキン工業、日本通運を傘下に持つNIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)、みずほ銀行など12の企業・団体がブースを設けた。このうち日本貿易振興機構(ジェトロ)のブースでは過去最多の25社が参加し、各社がさまざまな生活用品を展示していた。
関西財界からは、関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)と大阪商工会議所の鳥井信吾会頭(サントリーホールディングス副会長)が出席。日本商工会議所も、販路開拓を目的とする視察会を企画し、会員の中小企業から経営者ら10人が参加した。
中国政府はAI関連の供給網の整備を急いでおり、会場にもAIの専門展示エリアを設けた。
関経連・大阪商工会議所、10月下旬に大型訪中団派遣
関西経済連合会、大阪商工会議所など関西の経済団体が10月下旬に訪中団を派遣する。北京市や内陸部の陝西省西安市を訪れる予定で80人程度の参加を想定。中国政府や現地の経済団体との会談を調整しており、日中関係が冷え込む中、経済面での交流維持を図る。
ジェトロが最近まとめた「中国進出の日本企業の全体像(2025~2026)」報告によると、在中国日系企業の63%が黒字見込みという。
黒字が多い業種は精密・医療機器(81%)、金融・保険(80%)、電気・電子部品(75%)で、中国の高度化する産業構造と合致している。
同報告は進出企業が直面する課題として製造業の8割、非製造業の7割が「最大の競合は中国企業」と回答した。日本企業の強みは性能・品質、アフターサービス。弱みは価格競争力、製品投入スピードと指摘。「中国企業は低価格・高速開発で勝負、日本企業は高付加価値で差別化を図るべきだ」としている。
チャンスはEV、半導体、医療機器、自動化設備、冷凍食品…
中国市場で需要が拡大し、チャンスとなる領域として、電気自動車(EV)、半導体、医療機器、自動化設備、スポーツ衣料、冷凍食品、SDGs関連製品などを列挙。「これらは日本企業の技術力と相性が良く、「高付加価値×中国の巨大市場」の組み合わせで利益を確保しやすい」という。
その上で、「日本企業が取るべき戦略」として以下の4項目を提言した。
(1)高付加価値領域への集中
価格競争を避け、医療用・業務用など利益率の高い領域へ。
(2)中国企業への販売強化
中国メーカーに部品・技術を供給するモデルが拡大。
(3)内陸部市場の開拓
沿岸部は競争が激しいため、内陸部での拡販を進める企業が増加。
(4)現地化(ローカライゼーション)の加速
開発・設計の現地化。
結語として「中国市場の市場規模の魅力は依然大きい」とし、「意思決定のスピードを上げ、中国市場の変化に対応すべきだ」と求めている。











