◇<1>佐藤 彰一『フランス中世史Ⅰ―カペー朝の革新』(名古屋大学出版会)
◇<2>佐川 美加『凸凹で読みとくパリ―水に翻弄されてきた街の舞台裏』(学芸出版社)
◇<3>四方田 犬彦『三島由紀夫を見つめて』(ホーム社)
<1>は『フランク史』を刊行したフランス史の泰斗による待望のフランス中世通史。小さな王国がいかにして今日まで続く大国へと変貌していったか、その足跡を「王の歴史」を厭(いと)わずに、アナール史学の成果もとりいれながら総合的に記述していく。
<2>は、セーヌの流れの自然的・人為的変化がパリの歴史をかたちづくっていったかを水文学的観点から考察した驚くべき一冊。こんなにユニークかつ説得的な研究はフランスにもない!
<3>は三島由紀夫関連のエッセイや研究を集めて一巻としたものだが、三島由紀夫の自刃の目的は「彼を知るすべての者に死を贈り届けることであった」という結論は決定的である。三島由紀夫とパゾリーニの架空対談は対比列伝の傑作。
『フランス中世史Ⅰ カペー朝の革新』(名古屋大学出版会)著者:佐藤 彰一Amazon |honto |その他の書店
【書き手】
鹿島 茂
フランス文学者。元明治大学教授。専門は19世紀フランス文学。1949年、横浜市生まれ。1973年東京大学仏文科卒業。1978年同大学大学院人文科学研究科博士課程単位習得満期退学。元明治大学国際日本学部教授。『職業別パリ風俗』で読売文学賞評論・伝記賞を受賞するなど数多くの受賞歴がある。膨大な古書コレクションを有し、東京都港区に書斎スタジオ「NOEMA images STUDIO」を開設。
【初出メディア】
毎日新聞 2025年12月20日