中谷のガードを引きはがし、鋭いジャブやフックを矢継ぎ早に放っていく井上(C)産経新聞社

 日本で生まれた“ドラマ”の熱は、冷めやらない。

 5月2日に東京ドームで実現した世紀の一戦は、世界スーパーバンタム級4団体統一王者である井上尚弥(大橋)が、「最強の挑戦者」と評された中谷潤人(M.T)を激闘の末に判定(3-0)で破り、貫禄の防衛を果たした。

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 世界が「モンスター」と畏怖する天才の凄みが凝縮された一戦だった。

 試合を振り返って「想定内だった」という井上は、何が何でも勝つという戦前の宣言通りに試合巧者ぶりを発揮。挑戦者に対して鋭いジャブを繰り出してポイントを加算しながら、図抜けた敏捷性を利したディフェンスワークで反撃を許さず。そして11回には軸足一本で身体を支えながら放った左のロングアッパーで中谷の左目(検査の結果、眼窩低骨折と判明)を破壊。驚愕のパフォーマンスで試合の趨勢を定めた。

 会場に詰め掛けた5万5000人のファンが熱狂した井上の勝利には、ボクシングの酸いも甘いも知る往年の名手も脱帽する。元世界2階級制覇王者のティモシー・ブラッドリー氏は自身のYouTubeチャンネルにおいて「今朝の試合はマジでヤバかった。イノウエはあらためてヤバいぞ。あいつはマジで別次元のバケモンだ。あれはやっぱりガチの本物だ」と興奮気味にリポート。「決め手は前手の攻防だった」と、至高の技術戦を分析した。

「ナカタニはディフェンスも良いと言ったが、流石に今回はワケが違った。

イノウエはガードのちょっとした隙間からジャブをガンガン当ててた。あれは前手を下げてしまうナカタニの“癖”を完全に突いてたな。上にフェイントを入れてから、下にジャブを打ち込むんだ。しかも、インからも、アウトからも、色んな入り方して、キレキレのジャブを当てるんだ。もうイノウエはサウスポーを苦にしないぞ」

 以前から井上の地力を「とんでもないチャンピオンだ」と認め、絶賛してきたブラッドリー氏。そんな元王者でさえも中谷を凌駕した戦いぶりはエキサイトさせられたようだ。

 また、百戦錬磨のレジェンドはモンスターの今後についても言及する。

 すでに井上の次戦については、複数メディアで、現世界スーパーフライ級3団体統一王者であるジェシー“バム”ロドリゲス(米国)とのスーパーファイト構想が伝えられている。他でもない本人も米老舗誌『The Ring Magazine』のミニインタビューで「それはもうタイミング次第ですね」と明言している。

 期待が膨らむマッチメイクについてブラッドリー氏は「イノウエにはやられちまうかもな。ハッキリ言って、『モンスターとやれるのか』って感じだ。あいつが今日の感じならバムはボコボコだ」と断言。

井上の“圧勝”を早々と予測した。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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