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それでも列車は走り出す。傑作鉄道マンガ『テツぼん』『鉄道少女漫画』

それでも列車は走り出す。傑作鉄道マンガ『テツぼん』『鉄道少女漫画』
永松潔『テツぼん』は「ビッグコミックオリジナル増刊」で2008年より不定期連載がはじまり、現在本誌で連載中。昨年3月に出た単行本第1巻(画像)につづき、今月1年ぶりに第2巻が出た。原作者である高橋遠州による鉄道コラムも楽しく、第2巻では中央線ではかつて「かわぐち・かいじ」という列車が走っていた……などといったトリビアが披露されている。
今回の地震では、東日本の鉄道も大きな被害を受けた。岩手・宮城両県では地震後、大船渡線、仙石線、気仙沼線の4列車の連絡が一時つかなくなったが、その後乗客計70数人の避難と乗務員の無事が確認されている。とはいえ、これら路線も含めいまなお多くの鉄道路線が運休しており、復旧の目処が立たない状態である。

東北地方は、西日本の九州や四国などとくらべると早くから鉄道網が整備されてきた。それだけに、鉄道史のなかで重要な意味を持つ路線も多い。前述の大船渡線(一ノ関〜盛間)などは、政治家が地元選挙区に利益をもたらすべく鉄道路線の建設を誘致する、いわゆる“我田引鉄”の代表例としてよく引き合いに出される。というのもこの路線、大正時代から昭和初期にかけて、政党間でそれぞれの選挙区に有利なよう建設ルートの変更が繰り返された結果、極端に逆U字型を描く線型になってしまったからだ。その形が鍋の弦(つる)に似ていることから「鍋弦線」とも呼ばれた同路線は、現在ではやはりその線型から「ドラゴンレール大船渡線」という愛称がつけられている。

あるいは、仙台と山形市の羽前千歳を結ぶ仙山線は、日本初の交流電化区間として知られる。新幹線の高速運転を実現した技術の一つでもある交流電化は、1950年代に実験線に指定された仙山線で成功を収めたのち、北海道や東北、九州などのJR(当時は国鉄)の各在来線で導入されている。

ついでに言えば東北からはまた、鉄道の歴史にも大きな足跡を残したふたりの大政治家、原敬と後藤新平が輩出されている。現在の岩手県盛岡市に生まれた原が、地方振興のためローカル線の建設促進を主張したのに対し、現在の同県奥州市に生まれた後藤は、幹線鉄道の輸送力の強化ーー具体的には線路の幅(ゲージ)を広げることなどーーを優先すべきだと主張した。ほぼ同世代ながらことあるごとに対立した両者だが、その手法こそ違え、国家の繁栄や人々の生活が豊かになることをめざしていたという点ではいずれも偉大な政治家であることには変わりない。なお後藤は、1923年の関東大震災後に設置された帝都復興院の総裁として、大胆な東京改造計画を提案したことでも知られる。

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