少し前に、書評家で当エキレビ!のライターでもある杉江松恋さんが「ザ・インタビューズ」で、「その本のことを思い出すと居ても立ってもいられなくなり、他のことを差し置いても読みたくなってしまう本があったら一冊教えてください」といろんな人に訊いていたが(まとめがこちらで見られます)、ここ最近のわたしは、「ザ・商社」というNHKのドラマのことを思い出すと居ても立ってもいられなかった。

「ザ・商社」が放映されたのは1980年12月というから、もう30年以上前のドラマだ。現在ではDVD化されているほか、NHKオンデマンド「特選ライブラリー」でウェブ配信もされている(配信期限は来年、2012年12月3日まで)。わたしも以前より気にはなっていたものの、全4話、総計5時間という長尺ゆえなかなか手が出せなかったのだ。しかし脚本の大野靖子と演出の和田勉(放映当時NHKのチーフディレクター)がくしくも今年1月にあいついで亡くなったということもあり、ようやく見てみようと思い立った。ウェブ配信で第1回を見たらこれが思いのほか面白い。早く続きが見たいけど、一気に見てしまうのももったいない……そんな葛藤を抱くほどハマってしまった。

本作はタイトルどおり、総合商社(大阪に本社を置く江坂[えざか]産業)を舞台にした経済ドラマだ。原作は松本清張の小説『空の城』(1978年。なお、タイトルの「空」はソラではなくクウと読む)。和田勉は本作の前後にも清張作品のドラマ化を多数手がけているが、経済ドラマはこれが初めてだったという。