毎年のように繰り返しテレビアニメが再放送されている『タッチ』。『週刊少年サンデー』連載開始から30年以上経つにもかかわらず、人気も知名度も驚異的なほどである。


先日もフジテレビのアニメランキング番組において、「男性が選ぶ恋人にしたいキャラクター部門」でヒロイン・浅倉南が1位になり、「世代に偏り」などの指摘がネット上でされていたが、ともあれ浅倉南はスゴイ。
何がスゴイって、その名前が出ると、いまだに賛否両論で大盛り上がりになるほどの「吸引力」を持っているからだ。
特に、30代~40代女性には、個人的恨みがあるわけでもないのに、いまだに「浅倉南、大っ嫌い!」という人たちがいる。

どこが嫌いなのか。女性たちが挙げる「嫌い」なポイントをご紹介し、考察してみたい。

■何でもできるところ「+α」
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能で、モテる。「これじゃ同性がみんな嫉妬するのも当然だろ」と男性には思われがちだが、実は上記の要素だけでは女は女を嫌わない。
逆に「何でもできる同性」に対して、女は最初から勝負を挑まず、褒め称えることも多い。「同じ土俵にあがらない」ことで、自尊心を保とうとするからだ。
では、なぜ嫌いなのか。それは、「+α」の部分、浅倉南が「自分の魅力をよく知っていて、それを利用している」こと。いつでも堂々としていて謙遜もなく、媚びもなく、ときには男を怒鳴りつけることもある。
なんたって魅力的で、誰にも嫌われない自信があるから。
フツウの人には、これってけっこうキツイ。

■ズルさ
実は一途で、最初から上杉達也しか見ていない。心が揺れたことはおそらく一度もない。にもかかわらず、自分に対して正面からアプローチし続ける和也(達也の双子の弟)にはそれを告げない。後ろから抱きしめられても、何も言わず、拒みもせず、ただうつむくだけ。
断らないことは一見優しさに見えるが、「キープ」ととられてしまっても仕方ない。

■「男の子」っぽい喋り
浅倉南は「○○よ」といった「△じゃないわよ」といった女の子喋りをベースとしつつ、部分的に「○○だぞ」「お、感心感心」などの「男の子喋り」をよくする。「オレ、○○だぜ」とかいうがさつな男喋りはゲンナリだが、「男の子っぽい」のは可愛い。というか、自己愛のあらわれにも見え、一種のぶりっ子にも感じられる。「ボクっ娘」のメンタルにも近いか。

■本当の「天然」なところ
見え見えのあざとい「天然」の場合は、むしろ清々しいが、南ちゃんは計算でやってないからタチが悪い。
好きな男(達也)がいながらも、別の男(和也)に「自分の夢」として「甲子園に行くこと」を約束させるのは、「小悪魔」と言う人もいるが、計算ではなく、真正の天然だからだと思う。

■能力が高いくせに野心がないところ
自分自身がスポーツ万能で、新体操の期待の星なのに、選手として活躍していこうという野心はサラサラない。「たまたまできる」だけ。あくまで気持ちは「野球部のマネージャー」が本命。
知性も美貌もあるくせに、ニュースを読むトップキャスターを目指すのではなく、「スポーツ選手のお嫁さん」を目指してしまう女子アナにも似ている気がする。

上記のように「嫌い」な理由を列挙しつつも、気付くと、浅倉南のことで頭がいっぱいだ。
なんだかんだで、気になってしまう、やっぱり最強のヒロインだと思う。
(田幸和歌子)
編集部おすすめ