
※本文にはネタバレがあります
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パターン破る『プロミス・シンデレラ』第7話
早梅(二階堂ふみ)をめぐる兄弟対決がみどころの『プロミス・シンデレラ』(TBS系 火曜よる10時〜)。第7話は早梅への想いが募った壱成(眞栄田郷敦)が旅館かたおかで働き始めて能力を発揮し、成吾(岩田剛典)の余裕がなくなっていく。落ち着いた大人の魅力、長男の貫禄のイメージを覆す事実も判明した。【前話レビュー】『プロミス・シンデレラ』大人になりたいと成長した壱成と成吾の対決感がドラマを活気づかせた第6話
壱成が働き始めると仲居たちは彼に夢中になって、早梅が成吾だけでなく壱成とも仲の良いことを疎ましく感じる。旅館従業員のご意見箱に早梅を悪く言う意見が入っていた。描かれた成吾の似顔絵は誰が描いたのだろうかという疑問はともあれ、成吾は仲居から早梅を守るという名目で別の職場を紹介するのでかたおかを辞めるように勧める。


「やっぱ嫌われてたんだ私」と鈍感にもほどがある早梅だが、壱成のことを徐々に男性として意識しはじめたような節もある。「いつも俺が手え抜いてやってんだよ」なんて言われて男と女の体力差にどきっとしたりして。成吾との高校時代の素敵な思い出もあるというのに、やっぱり積極的にコミットしてくれる人のほうに惹かれてしまうものなのだろうか。
そう、成吾はちょっとおとなしすぎるのである。「あなたは不器用な努力家タイプだものね」と菊乃(松井玲奈)は指摘する。彼女は、子供時代、弟の壱成のほうがなんでも優れていたことを知っていた。なるほど。ドラマがはじまった頃、将来を嘱望された副社長として登場してもなんだか成吾には覇気がないように感じたのはその設定ゆえだったのかもしれない。

だからこそ高校時代、早梅に癒やされていたのであろう。母もいないし自信もないなか、唯一、話せる相手が早梅だったということだと推測する。そして今までは菊乃に頼っていたけれど、早梅に再会して菊乃離れをしはじめている。

最初はひどくわがままな人物にしか見えなかった壱成が、実は兄よりもポテンシャルの高い人物だったとは驚く。着物は似合うし、コーヒーも教わらなくても入れられるし、フルーツサンドも作ることができる。どんどん男をあげていく。しかも早梅への想いを彼女以外には隠さない。その素直さはただただかわいい。


出会いは人を変える
早梅が辞めるかもしれないことをあっという間に耳にした壱成は壁ドンして問い詰めた上、引き止める。そしてすぐに意見書を書いた陰険な仲居を探しはじめる。めっちゃ直球に仲居たちに聞き込みしてあっという間に千葉望(森カンナ)と松野茜(堺小春)に行き着く。早梅もまた直球でふたりの気持ちを聞こうとする。
千葉は開き直って「桂木さんのことが嫌いです」「何もかも気に食わないわよ」とずけずけ言う。

なにが彼女を変えたのかといえば、壱成との出会いであろう。出会いは人を変える。手のつけられない猛獣のようだった壱成もすっかり猫のようになってしまった。そして生花にまで才能を発揮。その作品は厳しい客のおメガネにも叶う。一方、成吾にはいいとこなしで、ちょっと可哀相になってくる。

おとぎ話や少女マンガだと過去の素敵な出会いの思い出が時を経て成就するパターンがよくあるが、『プロミス・シンデレラ』は破りではないだろうか。パターン破りはまだある。千葉はどんなに早梅を嫌いでも意見箱に悪いことを書いたりするような陰険なことはしない。徹底的に主人公を叩く適役パターンではなかったのである。三角関係とか壁ドンとか
ベタな恋愛もののように見えて、ところどころパターン破りがある。そのため、壱成と成吾、どちらを早梅が選ぶかまだまだ読めない。



茶房にバイトで入ってきた山野井さくら(畑芽育)は成吾の高校の後輩で、今後の展開に関わってきそうな予感。早梅と壱成が10歳差カップルになって、成吾は山野井か菊乃エンドだろうか。
(木俣冬)

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番組情報
TBS火曜ドラマ『プロミス・シンデレラ』
毎週火曜よる10時〜
出演:二階堂ふみ
眞栄田郷敦 松井玲奈 井之脇 海 松村沙友理 堺 小春
高橋克実
友近 森カンナ 金子ノブアキ
三田佳子(特別出演)
岩田剛典
原作:橘オレコ「プロミス・シンデレラ」(小学館「マンガワン」連載中)
脚本:古家和尚
音楽:やまだ豊
主題歌:LiSA「HADASHi NO STEP」(SACRA MUSIC / Sony Music Labels Inc.)
演出:村上正典(共同テレビ) 都築淳一(共同テレビ) 北坊信一(共同テレビ)
プロデューサー:橋本芙美(共同テレビ) 久松大地(共同テレビ)
制作著作:共同テレビ TBS
番組サイト:https://www.tbs.co.jp/promise_cinderella_tbs/
木俣冬
取材、インタビュー、評論を中心に活動。ノベライズも手がける。主な著書『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズルポルタージュ』、構成した本『蜷川幸雄 身体的物語論』『庵野秀明のフタリシバイ』、インタビュー担当した『斎藤工 写真集JORNEY』など。ヤフーニュース個人オーサー。
@kamitonami