中国科学院国家天文台は4月23日、宇宙論シミュレーションプロジェクトの「千衍(チエンイエン)」についての発表を行いました。中国人科学者が主導する国際チームがスーパーコンピューター上にデジタル仮想宇宙を構築することに成功し、宇宙の謎の解明やその進化史の研究に向けた高精度なデジタルナビゲーションマップを提供したとのことです。

デジタル仮想宇宙とは、スーパーコンピューターの強力な計算能力を活用して現実の宇宙に極めて近い形で再現された「デジタル宇宙」を指します。この仮想宇宙は、宇宙誕生から現在に至るまでの100億年以上にわたる進化過程を完全に再現し、各段階の様相をデジタルモデルとして完全に再現しています。

中国科学院国家天文台の王喬研究員は、「宇宙ではビッグバンの後、非常に均一な状態から網状構造が次第に形成されていった。『千衍』では、4兆2000億個の仮想質量塊を用い、138億年にわたる宇宙構造の形成と進化の過程を描き出した」と紹介しました。

「千衍」の銀河(島宇宙)形成の物理モデルを活用することで、銀河の画像やスペクトルといった重要なデータを提供することも可能です。高精度な仮想宇宙と実際の観測データを比較することは、暗黒物質(ダークマター)や暗黒エネルギーの本質の解明を助け、銀河の進化法則に対する認識を深めることにつながります。

さらにシミュレーションデータは、中国宇宙ステーションの巡天望遠鏡(CSST)や、欧州宇宙機関(ESA)による宇宙望遠鏡のユークリッドなどの国際的な大型観測プロジェクトに対しても、重要な科学的支援を提供するものです。(提供/CGTN Japanese)

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