中国メディアの観察者網は20日、中国に帰国する留学生が年々増加している背景と今後の課題に関する記事を掲載した。
記事は、中国教育部留学サービスセンター(CSCSE)がこのほど発表したデータで、2025年の海外留学者数は57万人余りである一方、帰国した留学生は53万5600人に上ったと紹介。
その上で、「1978~2006年の累計の留学生は106万7200人で、帰国者は27万5200人にとどまり、帰国率は約26%と低かった。しかし2010年以降、帰国者は大幅に増加し、16年には留学生54万4500人に対し、帰国者は43万2500人となり、帰国率は約79%に上昇した」と説明。さらに、「近年では帰国傾向が一層強まり、24年の帰国者は49万5000人で前年比19.1%増となった。そして25年の帰国率は約94%に達している」とした。
記事は、中国人留学生の動向には二つの特徴があると言及。第一に「国内トップ大学の卒業生の海外留学率の低下」を挙げ、「清華大学では14年の16.5%から25年には8.5%に減少した。一方で、かつて海外に出た人材の帰国も進み、02~11年卒の92.4%が現在は国内で活動している」とした。第二に「帰国者の多くが高度技術人材として活躍している点」を挙げ、「半導体や人工知能(AI)、自動運転分野の創業者には留学経験者が多く、近年も米シリコンバレーから優秀な研究者やエンジニアが中国へ戻っている」と紹介した。
そして、こうした流れの最大の要因は中国経済の著しい発展にあると主張。「1978年に世界の1.7%にすぎなかった国内総生産(GDP)は、25年には約17%へ拡大し、規模・所得水準ともに大きく向上した。
一方で、留学生の帰国増加は外部環境によるところも大きいと言及。「経済面では、海外留学のコスト上昇が顕著で25年の留学生の家庭の平均年収は約48万元(約1100万円)なのに対し、留学予算は54万元(約1260万円)超と、多くの家庭で支出超過が発生している。26年には平均予算が60万元(約1400万円)超と過去最高に達した。背景にはコロナ禍以降の各国の大規模な財政・金融緩和や地政学的緊張がもたらしたインフレがあり、主要留学先である米国では22年に物価上昇率が9.1%に達し、その後も高止まりしている」と述べた。
また、同様の傾向は英国やフランス、ドイツでも見られるとする一方、中国については「低インフレと生活基盤の安定を維持している」とし、「帰国は経済的負担を軽減する現実的な選択となっている側面もある」と論じた。さらに、米国が近年、中国を戦略的競争相手と位置づけ、中国人留学生へのビザ規制を強化してきたことにも触れ、「23年には中国人学生のビザ拒否率が36%に達し、既存のビザの取り消し方針も示された。こうした不安定な制度も帰国を促す要因となっている」と指摘した。
記事は、「帰国者の増加は中国の経済発展と国際環境の変化が重なった結果であり、大きなチャンスと課題の双方をもたらしている。個人にとっては、帰国は成長分野での活躍の機会を広げ、国際経験も強みとなるが、一方で帰国者の増加と国内教育水準の向上により、海外学歴の優位性は相対的に低下し、就職競争はさらに激化している」と説明。











