4月15日に開催された第13回中国ネット視聴大会で、中国の動画配信大手である騰訊視頻(テンセントビデオ)と愛奇芸(iQIYI)は、AI長編ドラマの実用化に向けて前向きな見解を示しました。

テンセントは、全編AI制作による十数話の長編ドラマと90分間の劇場版映画の制作を同時に制作しており、今年の第3四半期には公開できる見通しだと明らかにしました。

一方、iQIYIは、AIによる長編作品の生成ついては「すでに技術的な障害はない」とし、順調に進めば今夏にも初の本格的なヒットとなるAI長編作品が登場するとの見方を示しています。

過去2年間、中国のAIショートドラマやAIアニメは急速に普及し、市場の競争が激化しています。調査会社DataEyeのデータによると、2026年1月だけで中国のAIアニメの配信数は1万4634本に達し、1日平均で470本以上の新作が公開されています。AI技術の進展によりコンテンツ制作のハードルはほぼゼロになり、数人のチームでも半月で全100話の作品を制作できます。また、アルゴリズムによる推奨機能により、固定ファンに依存しなくても再生数を伸ばせるようになっています。

これとは対照的に、世界のAI長編ドラマ市場はほぼ空白状態です。この分野では、大手プラットフォームが先駆けて実用化を実現すると見られています。テンセントビデオとiQIYIはそれぞれ1億人以上の有料会員を抱え、長年にわたる長編コンテンツの制作実績、膨大なIP(知的財産権)、そして成熟した制作ノウハウを持っています。

一方で、課題も存在します。映像業界の多くは、現在の動画生成技術では長編ドラマにおける感情表現を十分にこなせないと考えています。調査会社・艾媒咨詢(iiMedia Research)のデータによると、ユーザーの46.7%がAI音声の感情不足に不満を持ち、44.9%がAIキャラクターに深みが足りないと感じています。論理的な展開と内容の深さが求められる長編ドラマでは、こうした欠点がさらに目立つことになります。

また、長編ドラマ市場が縮小する中、これを危機と見る声がある一方で、AIを新たな突破口と捉える見方もあります。2025年、中国では主要な長編ドラマの本編の実質的な再生回数が20%減少しました。こうした中、AI長編ドラマについては、品質の限界から視聴者離れをさらに進めるという懸念がある一方、AIによって多様で個々の好みに合った作品を生み出せるようになれば、停滞する長編ドラマ市場を立て直すきっかけになるという期待も出ています。

2026年は中国のAI長編ドラマの「元年」になると期待されています。技術やプラットフォームの準備は整っていますが、最終的な成否はコンテンツの質にかかっています。(提供/CGTN Japanese)

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