中国の暗黒物質粒子探査衛星「悟空」は、2015年末に打ち上げられ、軌道上で10年以上安定して運用されてきました。この衛星が収集した膨大な観測データに基づき、中国科学院紫金山天文台が率いる国際研究チームはこのほど、宇宙線の加速エネルギーの限界が電荷に依存するという新たな法則を初めて発見しました。

これは宇宙線の起源に関する謎を解明する上で極めて重要な意義があるとみられています。関連する研究成果は4月29日に国際学術誌「ネイチャー」に掲載されました。

中国が主導する国際研究チームは、「悟空」の優れた観測能力を生かし、陽子、ヘリウム、炭素、酸素、鉄の5種類の宇宙線から、最も一般的な粒子のエネルギー分布を精密に測定しました。その結果、これら5種類の粒子が高エネルギー段階で、いずれもバンプ(隆起)の構造を初めて直接観測することに成功しました。特に、炭素、酸素、鉄の3種類の粒子において、有効な測定エネルギーが従来よりも約10倍高くなったことが分かりました。

中国の探査衛星「悟空」、宇宙線加速の鍵となるメカニズムを解明

また、複数の観測データをまとめて分析した結果、研究チームは次の結論に至りました。すなわち、地球の近くには、一つの宇宙線の加速源が存在し、粒子エネルギースペクトルのバンプ現象は、粒子を加速できる能力の上限であり、宇宙線が粒子を加速できるエネルギーの上限は粒子の電荷に比例することを直接的に証明しました。

この理論は1961年にデンマークの物理学者により提唱されましたが、当時の測定装置や検出精度の制約により、観測可能なエネルギーの範囲に限りがあり、60年余りにわたり実証されませんでした。しかし今、「悟空」は強力な観測能力により、この理論に対し初めて直接的な観測の証拠を提供し、宇宙線の起源に関する謎の解明に大きな貢献をしたとみられています。(提供/CGTN Japanese)

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