中国メディア・界面新聞は21日、「中国自動車メーカーが世界で遊休生産能力を収集」と題し、中国の自動車メーカーが海外展開を加速する中、欧米自動車大手が抱える生産能力の活用が新たな戦略として注目されていることを伝えた。

記事はまず、「ステランティスは20日、仏レンヌ工場で東風汽車集団の新エネルギー車を現地生産する可能性を検討していると発表した」と伝えた。

また、「零跑汽車は、ステランティスのスペイン・マドリード工場を海外合弁会社が取得する可能性について協議を進めていると明らかにした」と説明。さらに報道によれば、比亜迪(BYD)は欧州メーカーの遊休工場の引き受けを検討し、吉利汽車や小鵬汽車も欧州工場の取得を模索しているという。

記事によると、背景には、グローバル自動車産業の構造変化がある。欧米や日本、韓国の自動車大手は過去数十年、世界各地に工場網を築いてきた。しかし電動化の進展により、内燃機関時代に構築した生産能力の一部が過剰設備へと変化。需要構造の変化、稼働率低下、設備転換コストの増加に加え、欧州では高い労務・規制コストも重なり、工場の整理や再活用が課題となっている。

一方、中国メーカー側では輸出依存の限界が見え始めている。中国は2023年に自動車輸出491万台を記録し、日本を抜いて世界最大の輸出国となった。ただ、輸出台数の拡大に伴い、関税や現地調達要件、法規制への対応が課題となり、現地生産能力の確保が不可欠になっている。特に欧州では、中国製電気自動車(EV)への追加関税や域内生産重視の政策が進み、「欧州製」であること自体が競争条件になりつつある。

既存工場の取得には大きな利点がある。記事は、「工場を一から建設する場合、立地選定、認可取得、建設、設備導入、人材採用、試験生産、生産能力の段階的引き上げまで通常3~5年を要する」と説明。

一方、既存設備を活用すれば、サプライチェーンやインフラの一部を継承でき、立ち上げ期間を短縮できると伝えた。

そして、記事が代表的な例として挙げたのが長城汽車だ。同社は20年にゼネラル・モーターズ(GM)のタイ・ラヨーン工場を取得し、21年6月に工場の改造を終えた。これによりタイおよび東南アジア諸国連合(ASEAN)市場での足場を早期に築いた。

もっとも、遊休工場の取得は万能ではない。記事によると、設備改修や労働組合対応、環境規制、政府認可などの障壁は依然大きい。BYDがブラジルで取得した旧フォード工場では、労働問題や当局の調査によって計画の遅延が発生した。長城汽車もインドでGM工場買収を計画したが、当局の承認を得られず断念した経緯があるという。

記事は、「全体として見れば、既存生産能力の引き継ぎが工場の自社建設に取って代わることはない」と記し、「中国の自動車メーカーは依然、新工場の自前建設を選ぶ傾向が強い」という専門家の声を伝えた。

一方、「中国メーカーによる既存生産能力の取得は単なる海外生産能力の確保ではなく、世界の自動車産業における主導権の変化を映し出している」との考えも示した。(翻訳・編集/野谷)

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