早朝、江西省九江市彭沢県の馬当渡船場に立って眺めると、棉船島の輪郭がかすかに見える。棉船島行きの渡し船に乗り込むと、この航路で38年間にわたり渡し船の船長をしている丁又男(ディン・ヨウナン)さんに出会った。
丁さんは生まれも育ちも棉船島だ。島の変化について話を向けると、「以前は島の住民が料理や暖房に使うのは薪や石炭ばかりで、屋外ではわらを燃やしていたので、煙だらけだった。今では料理に薪は不要で、屋根では発電ができ、わらもすべて回収されるようになり、環境は日に日に良くなっている」とした。
長い汽笛の音と共に渡し船はゆっくりと岸に着いた。見渡せば、青い空と澄んだ水の中で巨大な風力発電ブレードがゆったりと回転している。埠頭の駐車場に設置された太陽光発電付き充電カーポートに向かうと、棉船鎮復排村の村民、潮忠華(チャオ・ジョンホア)さんが電気自動車を充電していた。潮さんは「この車で県の中心地まで往復しても電気代は十数元程度で、ガソリン車よりかなり節約できる。自宅のすぐ近くでグリーン電力を利用できることは便利で環境にも優しい」と話した。
棉船鎮人民代表大会主席の芮文羽(ビン・ウェンユー)氏は、「この1300平方メートルの太陽光発電充電カーポートは、年間約27万キロワット時(kWh)を発電し、二酸化炭素排出量を約270トン削減できる。充電に使わない時は、グリーン電力を自動的に蓄電できる。
しかし数年前まで、棉船島の電力供給は長年の課題だった。芮氏は、「過去数10年間、島は完全に35キロボルト(kV)の馬棉送電線に依存していた。送電線は老朽化しており、さらには長江をまたいでいるため、強風や豪雨の際には遮断器が作動し、停電が起きやすかった」と語る。
棉船鎮金洲村でスーパーを営む高子娟(ガオ・ズージュエン)さんも、「停電すると冷凍庫の食品はすぐに傷んでしまうし、携帯電話の電波も届かなくなってしまっていた」と振り返る。
2021年7月、棉船島の電力問題を解決するため、国家電力投資集団と地方政府が協力し、総設備容量100メガワット(MW)の風力発電プロジェクト建設を推進した。18基の風力発電機が建設され、35kVの集電線、110kV昇圧変電所、10メガワット時(MWh)の蓄電システムが相次いで整備された。そして25年5月に100MW棉船島風力発電プロジェクトが全容量での系統連系発電を実現した。国家電力投資集団江西原子力発電新エネルギー部サブマネージャーの馮成(フォン・チョン)氏は、「棉船島のクリーンエネルギー供給システムはほぼ完成し、長江流域で初めて大規模な再生可能エネルギーによる電力供給を実現した『ゼロカーボンアイランド』となった。このプロジェクトの年間発電量は2億4400万kWhに達し、年間9万6000トンの標準石炭消費削減と24万トンの二酸化炭素排出削減に相当する。これは長江沿岸に1000万本以上の木を植えるのとほぼ同等の効果だ。運転開始以来、島内の3万2000人の住民の電力需要を満たすだけでなく、島外へも1億kWhを超えるグリーン電力を供給している」と説明した。
高さんは、「今は電力供給が安定しているので、冷凍庫の商品が傷む心配をせずによくなった」とする。
「ゼロカーボンの風」は島の暮らしのあらゆるシーンに吹き込んでいる。ゼロカーボン公園では太陽光発電による非常用充電ベンチが住民の憩いの場となっている。道路沿いには160基の太陽光街路灯が夜道を照らし、農地ではわらが廃棄物から資源へと生まれ変わり、循環利用されている。太陽光発電充電カーポートでは充電ポールが車両にグリーンエネルギーを供給している。
彭沢県発展・改革委員会の汪志発(ワン・ジーファー)主任は、「ゼロカーボンを追求する歩みは止まらない。棉船島は今後もゼロカーボンエネルギー、ゼロカーボン交通、ゼロカーボン建築、ゼロカーボン固形廃棄物処理、ゼロカーボン農業・観光、ゼロカーボン航運などの分野で取り組みを強化していく方針だ。『ゼロカーボン経済』の発展を通じて、より多くの村民が『グリーンな仕事』を得て、『生態系の恵みで生計を立てる』ことを目指している」とした。(提供/人民網日本語版・編集/KN)











