事件が多発する歴史ある南京路 狙われる日本人に領事館も注意喚起

 1850年代の上海開港を端緒に、イギリス租界の下で発展してきた上海・南京東路。現在では様々なショッピングセンターやデパート、飲食店が立ち並ぶ歩行者天国になっており、毎日多くの観光客などでにぎわいをみせる。
しかし、人の集まるところに事件は起こる。

■名ばかりの観光地

 2011年8月、東方ネットは米CNNが発表した「名ばかり観光地」のトップ12に上海の歩行者天国、南京東路が選ばれたと伝えた。ネット上は賛否両論で、様々な意見が飛び交った。

 もともと南京東路は、1850年代の対外的な開港を経てイギリス租界の下で発展してきたという経緯があり、現在では上海の発展を象徴するマークとして、ガイドブックやポストカードの素材になっている。ユニクロや吉野家など、多くの日系企業も多く出展している。ただ、確かに実際歩いてみると、これを「観光地」と呼んでいいかどうかは微妙である。それに、ここはそもそも安全な場所とは理解されていない。特に旅人たちにとっては。

 遡ること半年、在上海日本国領事館は7月25日付で「ぼったくりに関する注意喚起」を掲載する。最近、南京東路界隈で悪質なぼったくりが発生しているので気をつけられたい、という。ここは昔から旅行者のあいだでも有数の「ぼったくりストリート」でもあるのだ。試しに夜間、筆者が往復してみると10人以上が日本語で声をかけてくる。
商魂たくましい人びとは「日本人か否か」を的確に見分けることができる。以下、ここで代表的な三つの手口を紹介しよう。

■仙人も跳ねる罠の数々

 まず代表的な事例が売春。これについては特に言及する必要はないだろう。「ね、お兄さん、寂しいんでしょ、女の子紹介してあげるから」などと、非常に流暢な日本語で話しかけてくる。以前は男性が多かったが、近年は女性が多いようだ。また、直接「ぼったくり」には該当しないが、ロレックスやヴィトンのかばんを売りつけてくる人間もやっかいだ。なかなかしつこく、振りほどくのに時間がかかる場合が多い。この場合は素直に「駆け抜ける」ことをお勧めしたい。

 そして最期が「美人局(つつもたせ)」、中国語では「仙人跳」という。代表的な文句としては、「いま日本語を勉強している」、「日本人の友だちが欲しい」などがある。そして喫茶店やカラオケに行くと、後に法外な料金を請求されるという「方程式」が完成する。
また、ここ最近の新しいトレンドとしては「迷子」がある。中国語ができる外国人が対象で、迷子を装い、道を教えてあげると「お礼にお茶でも」となり、あとは例の方程式に入る。中国語ができる旅行者にとっては、落とし穴になりやすい手口と言えるだろう。

 実は、ここ南京東路における日本人向け(欧米系要員もいるが、日本人がやはり中心だ)の手口は歴史が長い。少なくとも10年前から偽ロレックスを売る男が闊歩し、夜になると女性を紹介する男が日本人を物色していた。どうしても海外に出ると「大らか」になってしまうのか、ひっかかってしまう日本人は多いようだ。以前、筆者は一度、この商売の全容を解明したいと考え、美人局の罠に乗り、自分で喫茶店を指定して詰問してみたが、これはあえなく失敗した。懸命な旅行者の方はどうかこうしたリスクを犯さず、全力で駆け抜けて欲しい。

 写真は南京路の歩行者天国。(編集担当:前田直人・サーチナ総合研究所研究員)
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