周囲には車を停めて眺めている運転手もいた。呉さんは少し離れた所に車を停めて、近くに歩み寄った。運転席の男性は動けないようだった。同上していた女性と子どもが、大声で助けを求めていた。呉さんの姿を見て、運転席の男性も大声で助けを求めた。事故を起こした車に乗っていたのは親子3人だった。
考えている時間はなかった。呉さんは迷わず、救助活動に取り掛かった。まずSUVの助手席側のドアをこじ開け、子どもを抱いて車外に出した。
問題は運転席の男性だった。ダッシュボードと座席に挟まれていた。ダッシュボードから煙が出だした。車体が変形して運転席側のドアは開かない。男性の意識はやや朦朧としていたが、「私はダメだ。行ってくれ! 車が爆発するぞ!」などと言いだした。
救助開始時よりも炎は大きくなっている。たしかに爆発してもおかしくない状況だ。
義理の弟と2人がかりで、運転席に挟まれている男性を上方向に引いた。体が抜けた。大柄の男性で苦労したが、なんどか車外に引きずり出した。さらに男性を助けて、自動車から離れた。直後に背後で巨大な音がした。衝撃が呉さんらの体をゆすぶった。SUVの爆発だった。
事故の様子は撮影されていた。映像によると呉さんらが男性を車外に出してから爆発まで、わずか5秒間だったという。
呉さんの職業は、中古車販売店のアフターサービス部門のマネージャーだ。取材に対して、仕事の事故発生時の救助活動についても一定の知識があるので、とにかく助けようとしたと答えた。ただし、「あんなに早く爆発するとは思いませんでした」という。
救出活動中に恐怖は感じなかったが、妊娠した妻がそばにいたので(心理的影響を受けないかと)心配だったという。
救出された男性は腕を骨折しており、折れた肋骨が肺に刺さる重傷だった。ただし15日ごろまでには危険な状態を脱した。女性は肋骨4本の骨折だった。こどもは頭部にけがをしたが、大きな問題はないという。
事故を起こした男性が昼食時にワインを大量に飲んだことが、事故につながった可能性があるとされる。
事故処理にあたった警察官は、「呉さんが救出しなかったら、一家3人は助からなかったはずです」と述べた。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
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