中国メディアの中国新聞週刊は15日、医療業界の「暗黙のルール」が通用しなくなったと報じた。

記事によると、中国で医療機器を病院に無料で提供する行為が違法と認定された事例が注目を集めている。

山東省に拠点を置く大手医薬品・医療機器流通企業の瑞康医薬集団は、同省煙台市の公立病院に検査機器6台を無料で提供したが、見返りとして関連する検査試薬や消耗品を同社からのみ購入させていた。この行為が取引を獲得するための「商業賄賂」に当たると判断され、不正競争防止法に基づき、違法所得の没収に加え、10万元(約230万円)の罰金が科された。

医療機器の無料提供は一見すると善意のようにも思えるが、実態はそれに関連する消耗品を購入させることで利益を確保するビジネスモデルだ。同社は2024年までに消耗品の販売によって600万元(約1億4000万円)余りの利益を得ていたとされる。同様の事例は他にもあり、済南潤達生物科技有限公司も低価格の検査機器と試薬の「抱き合わせ販売」が「商業賄賂」に当たると認定され、罰金処分を受けた。こうした手法は中国の医療機器業界では珍しくなく、長年の慣行になっていたという。

記事によると、血液や尿の検査など体外診断の分野では、検査は機器、試薬、消耗品が一体となって機能する仕組みになっている。このうち、利益が大きいのは機器そのものではなく、検査のたびに繰り返し使用される試薬や消耗品で、業界全体の売り上げの大部分を占める。重要なのは互換性の問題で、多くの場合、機器は自社製の試薬や消耗品に合わせて設計されており、他社製品は使えないか、使いにくくなっている。このため、病院が一度特定メーカーの機器を導入すると、その後の試薬や消耗品も同じメーカーから継続的に購入せざるを得なくなる。

企業側はこれを利用し、まず機器を低価格や無料で導入してもらい、その後、消耗品の販売で長期的な利益を確保する戦略を取る。つまり、機器は利益を生む商品ではなく、「顧客を囲い込む入り口」として機能している。

しかし、この手法は他社製品の入り込む余地を極めて狭くするため、市場競争をゆがめる恐れがあると指摘されている。特に医療機器は互換性が低く、一度導入されると他社製への切り替えが難しいため、こうした「先取り」による独占的な構造が生まれやすい。資金力や販売網に乏しい中小企業にとっては極めて不利であり、技術力があっても市場参入の機会が奪われる要因となっている。実際に1元(約23円)など極端な低価格入札が相次ぎ、入札の公平性や製品の品質に対する懸念も高まっているという。

こうした状況を受け、中国政府が規制強化に乗り出した。反不正競争法に基づき、取引機会や競争優位を得る目的での利益供与を「商業賄賂」として厳しく取り締まることを明確にしたほか、財政部が「異常な低価格入札」への監視を強化する通知を出し、一定基準を下回る入札については詳細な説明や証明を求める仕組みを導入した。単なる価格の安さだけで受注を獲得する「過当競争」を抑制し、品質や適正価格に基づく競争へと転換を図る狙いがある。

専門家は「こうした法整備によって、これまで慣行化していた不透明な取引が是正され、より公平で健全な市場環境の形成が進む」とみている。(翻訳・編集/北田)

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